2017年01月17日
海外の先進事例は日本の未来。マイナンバーカードが生み出す新しいビジネスモデルとは
社会やビジネスのイノベーションにつなげていくには
須藤氏:
マイナンバーカードの公的個人認証機能は、2020年に向けてさらなる活用が検討されています。チケットの不正転売を防ぎながら、スムーズな入場も実現するため、購入時と入場時にカードを使った本人確認を行うシステムを構築しようという計画です。
公的個人認証サービスの電子証明書をスマートフォンのSIMカードに格納すれば、広い会場内でもスマートフォンがイベント会場の自席まで誘導したり、近くのトイレの位置を教えてくれるといったことも実現できます。地方から来られる方にはホテルの確保やチェックインもマイナンバーカードでできるようにすれば便利でしょう。
外国籍の方はマイナンバーカードを使えませんが、その代わりに電子マネー系ICカードのチップに利用者の国籍や言語をアイデンティファイして同じ機能を持たせることができます。会場内のデジタルサイネージにカードをかざせば、その国の言語で案内サービスや翻訳サービスを提供することも可能でしょう。こうした機能やサービスは、インバウンドツーリズムや観光事業と提携した地元事業の活性化策にも使えるはずです。
小泉氏:
2010年の横浜APECや2016年の伊勢志摩サミットでは、会場近隣の住民に特別なIDカードを配って道路の通行制限等を行っていましたが、今後も大規模なイベントが続きますので、マイナンバーカードが物理的な身分証明書としてもますます重視されていくと思います。
マイナンバーカードは健康保険証との一体化が予定されていますが、運転免許証との一体化についても政府が提案しています。高齢者の危険運転が社会問題となる中で、警察庁のアンケート調査では65歳以上の高齢者ドライバーのうち、免許返納を考えたことがある人の約3割が「身分証明書として使う必要があるから、やはり返納しない」と答えているんですね。
しかしマイナンバーカードと免許証が一体化すれば、返納後は免許証の機能だけをOFFにすればいいので、こうした“身分証明書難民”を防ぐことができます。
須藤氏:
マイナンバーカードは社会の根幹を良くするためのものとして使わなければなりません。きちんと活用すれば、本当に必要な人に必要な情報とサービスを届けることができます。官民連携によって利便性や導入効果をさらに高め、さまざまな社会システムのオープン・イノベーションにつなげていくことが重要だと思います。
