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医療現場の安全安心、働き方改革、超高齢社会への対応──。
喫緊の課題を踏まえた先進的な提案と、ICTソリューションを展示

2019年7月17日(水)~19日(金)、NECグループは東京ビッグサイトで開催された「国際モダンホスピタルショウ2019」に出展しました。

今日の医療現場は、高齢化の進展による疾病構造の変化や、医療従事者の偏在・不足など、さまざまな課題に直面しています。こうした課題を踏まえて、NECブースでは「医療現場の安全安心と業務効率化の両立」「医療従事者の働き方改革を支援するICT活用」「超高齢社会を豊かに生きる、健康寿命延伸に向けて」という3つのテーマゾーンを設定。ステージでのプレゼンテーションと展示によって、先進のソリューションをご紹介しました。

計3日間の会期中、NECブースには、ICT活用によって医療・ヘルスケア分野の課題解決を模索されている多くの医療関係者にご来場いただきました。本レポートでは、特に注目を集めたICT製品や関心の高かった技術をピックアップしてご紹介します。

医療現場の安全安心と業務効率化の両立

医療従事者の業務負担軽減に直結する
2つの機能を、デモを交えて紹介
~電子カルテシステム 「MegaOak/iS」~

NECの電子カルテシステム「MegaOak/iS」は、環境変化が激しい医療の現場に対応できるよう、ユーザーの声も取り入れながら定期的にパッケージの機能を向上させるレベルアップ方式を導入しています。こうした考え方や取り組みが医療関係者から注目されています。

今回の出展では、医療安全および医療従事者の業務負担軽減につながる2つの機能を重点的にご紹介しました。

医師が直感的に操作できる「クリニカルデスクトップ」

従来、診療科や疾患ごとに検査や治療で必要となる各種指示が決まっているのに、それぞれシステムに登録する必要がありました。「クリニカルデスクトップ」では、各指示を組み合わせて一覧化し、選択された指示をまとめてシステムに登録します。ひとつの画面に操作を集約することで、指示の登録漏れを防ぎ、入力時の医師の負担を軽減することが可能になっています。

患者情報を集約し、”一元管理”から”活用”へつなげる「KeyValue」

電子カルテシステムには患者のプロフィール情報が分散して記録されるため、最新の情報を院内で共有しにくいという課題がありました。「KeyValue」は、問診や所見の入力内容、検査指示時の情報、各種文書で入力された情報などを一元化し、患者の最新情報をどこから更新しても院内で共有・閲覧できる仕組みです。さらに、この仕組みを活用することで、例えば特定の病名が記載された患者を素早く検索することができます。患者情報を集約し、一元管理することで、院内のさまざまなシーンで適切な情報活用が可能となります。

この他にも、視覚的に指示を伝達・確認できるカレンダー機能や、連絡事項・備忘録メモなどが確認できるワークアシスタント機能などにも関心が寄せられました。
さらに、重要情報見落とし防止に向けた新たな取り組みとして、レポートの未読/既読管理を支援する「レポート確認説明管理機能」が大きな注目を集めていました。

本来の診療や業務に集中できる環境を提供し、医療現場の安全安心と業務効率化を支えるNECの取り組みを、来場者の皆様にご覧いただきました。

医療従事者の働き方改革を支援するICT活用

NEC独自のAI技術で、問い合わせ業務を省力化
医療現場の働き方改革に貢献
~AIを活用したチャットボット「NEC自動応答」~

医療機関における各種問い合わせは、通常、電話やメールで行われています。夜間や休日など「窓口への電話がつながりにくい」といったケースや、メールによる応対の場合は、回答が翌日になるケースなどが見られます。また、若年層の中には電話をかけるより、チャット形式で気軽に問い合わせすることを好む「スマートフォン世代」の人々が増加しています。
一方、医療の現場では、問い合わせ対応のための応対人員の確保が難しいという現状があります。

AIを活用したチャットボット「NEC自動応答」は、人が行っていた問い合わせ対応業務を、WebやLINE等で自動化します。NEC独自のAI技術「テキスト含意認識技術」を適用することで、相談者から送られてくる多様なテキスト表現の文意を認識し、効率的、かつ、質の高い応答が可能になります。問い合わせ対応スタッフの工数削減で働き方改革に貢献すると同時に、24時間いつでも気軽でスムーズに問い合わせができる手段が確保されることで、問い合わせをする側の負担軽減にもつながります。

その一例として、院内で人工呼吸器の貸出予約管理を行う際に、本ソリューションを用いて業務の効率化を図るシステムのデモを参考展示。チャット形式で貸出希望日を問い合わせると、その文面をAIが自動的に判別し、希望日時に予約できる機器を画像付きで表示。一連のプロセスを見た来場者からは、「こんな使い方もできるのか」という反応など、医療現場の働き方改革に向けた新たなICT活用の形に期待の声を多くいただきました。

また、このNEC自動応答は、医療・介護の広範な分野で活用できるとNECは考えています。
当日は、2019年7月より埼玉県様がNEC自動応答のエンジンを利用し、県内で全国初となる「AI救急相談」のサービスをスタートさせた事例も併せてご紹介しました。

AIを活用して医療現場の改革を支える、先進の取り組み
~「デジタルホスピタル※」の実現に向けた医療法人社団KNIとNECによる共創~

ICTで、医療の質向上と業務を効率化

AIを活用して医療の質向上と業務効率化を目指す──医療法人社団KNI(以下、KNI)が目指す「デジタルホスピタル」の実現に向け、新たな取り組みが進んでいます。NECブースでは、入院患者の容体変化の予兆検知と看護記録の質の向上と効率化に向けた取り組みをご紹介しました。

※ デジタルホスピタル:
さまざまなセンサーやAI技術により自動化された病院の概念。AIによって適切な診断や治療の提供が支援されることにより、医療の質の向上と業務の効率化が可能となる。

入院患者の容体変化をAIで予兆検知

KNIとNECは、患者の早期退院を遅らせる原因となる「患者の容体変化」に着目。技術実証を行い、入院患者のバイタルデータ等からAIを活用して特徴を抽出し、不穏行動につながる予兆を検知することができました。さらに、実証対象を広げ、カルテデータをAIにより分析することで、誤嚥性肺炎のハイリスク患者の抽出ができることを確認しています。
これまでは、患者の容体変化が起こってから対応していましたが、今後AIで容体変化を予兆検知することができれば、予兆段階での対応が見込めます。これにより、患者の入院長期化の回避、対応するスタッフの業務負荷軽減が期待できます。

看護師の発話をリアルタイムに記録・分類し、業務負担を軽減

医療業務を遂行するうえで、正確な記録は欠かせません。一方で、記録業務の増加は医療現場に多大な負担をもたらしており、時間外勤務の原因にもなっています。
この解決策として、NECはAIの「テキスト含意認識技術」を用いて看護師の会話をテキスト変換して記録し、自動的に分類・構造化する「発話情報AI記録支援」に取り組んでいます。KNIでの実証では、看護師が記録業務に割いていた時間を58%削減できました。さらに、ヒアラブルデバイスを介して患者ごとに必要なケアの方法をAIが音声で示唆することで、看護師の知識・経験を補完することにも取り組んでいます。

超高齢社会を豊かに生きる、健康寿命延伸に向けて

質の高い内視鏡検査をサポートする取り組み
~「医療画像診断支援システム」(技術紹介)~

2016年より国立研究開発法人国立がん研究センター様と共同で開発を進めている「リアルタイム内視鏡診断サポートシステム」を、技術紹介として展示しました。

本技術は大腸の内視鏡検査時に撮影される画像から、大腸がんおよび前がん病変(大腸腫瘍性ポリープ)をAIでリアルタイムに自動検知し、内視鏡医による病変の発見をサポートするものです。NECが長年の画像認識技術の研究開発で培った「高い認識精度」と、1秒あたり30枚もの画像を解析する過程でリアルタイムに病変を検知できる「処理スピード」を両立した技術でもあります。

本技術の開発過程では、国立がん研究センター中央病院による所見が付けられた約5,000例の内視鏡画像を、深層学習を活用したNECのAI技術に学習させました。このAI技術と独自の高速処理アルゴリズム、および高度な画像処理装置を用いて、1台のPCで動作するプロトタイプを開発しています。このプロトタイプを用いて、2017年に新たな内視鏡画像を解析したところ、大腸腫瘍性ポリープと早期がんの発見率は98%という結果になりました。

今後も肉眼での認識が困難な病変などを追加で学習させながらシステムの精度を引き上げ、内視鏡検査の質を向上することで、がんの早期発見による患者負担の軽減、および、患者の健康寿命の延伸に貢献していく考えです。また、本技術は日本国内だけでなく、グローバルでの実用化も視野に入れています。

過去の健診データから、AIが将来の健康状態を予測
~健診センターにおける保健指導の質的向上を支援~

先進のAIが、3年先までの健康状態を可視化

「健診結果予測シミュレーション」は、蓄積された定期健診データをもとに、AIを活用して将来の健康状態を可視化します。健康状態は現状の生活を継続した場合と、生活を見直した場合の2種類のパターンで3年先まで予測できます。今後さらに関心が高まる予防医療にも貢献が期待される「健診結果予測シミュレーション」を、デモンストレーションでご紹介しました。

健診センターの保健指導の高度化を支援

健康状態の予測は、受診者に健康維持に対する意識改革や行動変容を促すとともに、健診センターの保健スタッフの業務も支援します。従来、スタッフの知見や経験で行ってきた保健指導に客観的なデータが加わることで、データにもとづく保健指導が可能となり、受診者への説得力が高まります。また、予測結果の理由や根拠も可視化できるため、生活改善のアドバイスも具体的に行えます。会場ではシステムの特長とともに、保健スタッフの働き方改革についてもご説明しました。

NECの健康管理センターで自ら活用

「健診結果予測シミュレーション」は、現在NECの健康管理センターで実際に活用中です。さらに、2019年7月からNECグループ社員約7万人に対して提供開始され、個々人が主体的に健康改善の意思を持ち、行動変容することを支援しています。
医療機関では、今年6月にオープンした大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院の「倉敷中央病院付属 予防医療プラザ」にて活用されています。
将来的には、病院の持つ健診結果データと診療データを組み合わせ、病気の予防・早期発見・早期治療による健康寿命延伸や、早期介入による重症化予防の実現を目指して取り組みます。 NECは、医療機関の持つ情報の価値を高め、地域の人々がいきいきと、健康に暮らす未来の創造の支援をしていきます。

また、高齢者などの自立支援の取り組みという観点では、「センサー+AIで支える在宅自立支援サービス」も、会場内で注目を集めていました。

ICTで、医療従事者と生活者が豊かに暮らせる社会へ

上記の他にもNECブースでは、医療・介護などの現場に関わる方々の働き方改革や、患者・顧客へのサービス向上と充実に役立つシステム、ソリューションをご紹介しました。

医療安全と業務効率化の両立、働き方改革を支援するICT、そしてAI技術などを用いた健康寿命の延伸──。NECはこの3領域を融合させて、医療従事者と生活者が豊かに暮らせる社会を目指しています。これからも、保健・医療・福祉分野におけるヘルスケアICTの研究開発、先進的な提案、および商品化への取り組みに注力してまいります。

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