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AI活用の前に整えるべきものとは? NECが提唱するAI-Readyなデータマネジメント

 AI活用への期待が高まる中、データドリブン経営を支えるデータマネジメントの重要性が一段と増している。AIを導入するだけでは本当の意味で活用しているとは言えず、何より重要なのはAI活用を支える準備を、従来のデータマネジメントの考え方に沿って進めていくということだ。

 こうした中、NECは自社のデータドリブン経営の実践を通じて得た「クライアントゼロ」の知見をもとに、企業の取り組みを伴走支援している。AI-Readyなデータマネジメントとは何か。その考え方と実装のポイントを、3人のキーパーソンに聞いた。

SPEAKER 話し手

NEC

下條 裕之

データ&アナリティクス事業部門
データマネジメントグループ
ディレクター

笠原 浩一郎

データ&アナリティクス事業部門
データマネジメントグループ
マネージャー

澤 香苗

データ&アナリティクス事業部門
データマネジメントグループ
マネージャー

経営を支えるデータマネジメントの「5つの柱」

そもそもデータマネジメントとは?

下條:データマネジメントは、データドリブン経営につながる全ての取り組みを指します。その中には、データガバナンスやデータの分析・可視化、人材育成など、あらゆる施策が含まれます。代表的な知識体系として、DMBOK(Data Management Body of Knowledge)がありますが、これを理解しただけでデータマネジメントを実現するのは困難でしょう。実際に試行錯誤し、机上の知識を「実践知」に昇華していく必要があります。

 NECでは、自身をゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践する「クライアントゼロ」の取り組みを行っています。自社の中で失敗と成功を繰り返すことで実践知を蓄積し、そこで得た知見をお客様や社会に還元するという考え方です。データマネジメントにおいても、社内の経験をもとに現場で使える実践ノウハウを確立し、皆さまの支援に役立てています。

「クライアントゼロで培った実践知を、データマネジメント支援に生かしています」
NEC データ&アナリティクス事業部門
データマネジメントグループ
ディレクター 下條 裕之

データマネジメントは土台と「5つの柱」で成り立つ

下條:データマネジメントを進める上で重要なのは、「5つの柱」とその土台である「戦略策定」です。これを、家づくりに例えると分かりやすいでしょう。家を建てるときには、基礎=戦略が不可欠です。まずはここをしっかりと固め、その上に5つの柱(組織/統制、文化、人材育成、分析/AI、基盤)を立てます。これが1本でも欠けてしまうと、家は崩れてしまいます。

 一方で、最近増えているのが、AI活用を見据えたデータマネジメント推進のご相談です。この点においても、根本的な考え方は変わりません。基本のデータマネジメントを「1階建て」とするならば、AI活用は「2階」部分にあたります。頑丈な平屋の上でこそ、AIは有効に機能します。その状態へと導く取り組みが、NECの推進する「AI-Readyなデータマネジメント」です。

図1:AI-Readyなデータマネジメント

AI導入を目指す企業に共通する課題

具体的にどんな相談が寄せられている?

笠原:直近でご依頼いただいたのは、「AIを活用するにあたり、その準備に必要な取り組みを整理したい」「AIファースト企業となるための示唆や事例がほしい」というものでした。

 AI-Readyとは、「企業や組織においてAIを効果的かつ安全に活用するための準備が整っている状態」を指します。これをデータマネジメントに置き換えると、5つの柱を網羅的に推進しつつ、AIの特性に対応した追加の検討が必要になるということです。

「AI-Readyに向けた取り組みの第一歩は、自社の現在地を知ることです」
NEC データ&アナリティクス事業部門
データマネジメントグループ
マネージャー 笠原 浩一郎

 私たちは、NEC自身のDMO(※1)組織メンバーと共に社内横断のプロジェクトを立ち上げ、「AI-Readyなデータマネジメント」のあり方を検討してきました。具体的にはNECの経営コックピットからリンクされている、「CEO AI Comment(※2)」におけるデータマネジメント要素を抽出し、As-IsやTo-Be像を明確化しました。その議論をもとに、企業の状況を確認するためのアセスメントチェックシートを作成しています。実際の支援にあたってまずは、このシートを用いてお客様の現状把握から始めます。

  • ※1 DMO:データマネジメントオフィス
  • ※2 CEO AI Comment:NECの経営ダッシュボードに組み込まれたAI機能。統合された経営データを分析し、CEOの視点を踏まえたインサイトを自動生成する。
図2:AI-Readyアセスメント

 アセスメントの目的は、企業を評価することではありません。ヒアリングを通じてデータマネジメントやAI活用の課題を紐解き、その先に目指す姿を描くための入り口です。対話を重ねながら進めることで、AI-Readyに対する理解も深まり、進むべきロードマップも明確になります。

AI準備を進める企業が直面する課題とは?

笠原:多くの企業に共通しているのは、基本のデータマネジメントが成熟していない段階で、AI導入を進めようとしている点です。「AIに関する組織はつくったものの、役割や権限が明確でない」「何から着手すべきか分からない」といったケースも少なくありません。また、リスクマネジメントにばかり目が向き、データ品質の観点が十分に検討されていないケースも見られます。この状態では、AI導入の効果が十分に発揮されないだけでなく、深刻なリスクが引き起こされる可能性が高くなります。

AI時代のデータマネジメントを導く羅針盤

AI-Readyの実現に向けた「3つのステップ」

「AI-Readyなデータマネジメントを、伴走しながら具体化します」
NEC データ&アナリティクス事業部門
データマネジメントグループ
マネージャー 澤 香苗

:AI-Readyに向けた取り組みには、主に3つのステップがあります。まずは、AI特有の観点を踏まえたデータを準備し、活用の土台を固めます。次に、リスクやガバナンスを明確にし、安心してAIを使える状態を整備。そして最後に、ワークフローの見直しや自動化を図ることで、持続的な価値創出へとつなげていくイメージです。

 しかし、このステップに沿った取り組みをいきなり完璧な状態を目指して始めていくことは難しく、まずはその取り組みに向けた準備が重要だと私たちは考えています。

図3:AI-Readyに向けた取り組みイメージ(Step1,2,3)

施策検討からPoCまでを伴走支援

:NECではこれまで、企業におけるデータマネジメント活動の推進を支援する「データマネジメント推進支援サービス」(※3)を展開してきましたが、そのオプションの一つに今回新しく「AI-Readyに向けた準備」という支援メニュー(参照:図4中「本オファリング範囲」)を追加しました。支援メニューではまず「AI-Readyアセスメント」を実施し、今の状況を把握した上で、さらに具体的な施策を検討し、一部を一緒に実行していきます。実際にやってみることで新たな課題やアイデアも生まれ、次のステップにつなげていくことができる、AI活用を図る上で有用なメニューとなっています。

図4:AI-Readyに向けた準備

下條:AI-Readyへの第一歩を踏み出すためには、AI活用をより早く、より確実に進めるための大元の基盤、いわば”羅針盤”となるデータマネジメントを確立しておく必要があります。私たちは皆さまにその羅針盤を示すだけでなく、”同じ船の乗組員”として、AI-Readyなデータマネジメントの実装まで伴走させていただきます。