本文へ移動

新たな価値創造モデルの3本柱で
企業のDXをフルサポートする

 NECが2024年5月に発表した新ブランド「BluStellar(ブルーステラ)」は、ビジネスモデルの「BluStellar Agenda」とテクノロジーの「BluStellar Technologies」、組織・人材の「BluStellar Programs」の3つの要素で構成され、戦略コンサルティングからサービスデリバリー、運用・保守という一連のサイクルがカバーされる。従来の個別SI(システムインテグレーション)とはどう違うのか。BluStellarによって成果を上げたDX(デジタルトランスフォーメーション)事例も増え続けている。今回、NECのCorporate EVPの木村哲彦に、BluStellarの具体的なメニューや、三井住友海上火災保険のDX事例について話を聞いた。

上流コンサルティングからEnd to Endでサポート

 多くの企業は過去数年にわたってDXに取り組んできた。成功事例もあれば、実証実験レベルで足踏みしているケースもある。DXの果実を収穫することの難しさを実感している経営者は少なくないだろう。成功のカギとして、しばしば指摘されるのが「目的の明確化」である。

 「どのような新ビジネスをつくりたいのか、どのような新サービスで自社のお客様に貢献したいのか、どのような価値を創造したいのか。DXに取り組む企業は、まずこうした目的を明確に示す必要があります。私たちはこれを『BluStellar Agenda』と位置づけ、上流コンサルティングからEnd to Endでお客様をサポートします」と木村は語る。

 例えば、その企業が「やりたい」と思っているDXは本当に実現可能なのか、あるいは経営や顧客の視点でどの程度の優先度があるのか、そして費用対効果は――。BluStellarのコンサルティングチームが構想・企画段階から参画して、戦略、業務、技術などの観点から企業をサポートする。BluStellar Agendaは、「お客様を未来へ導く価値創造モデル」=BluStellarの入り口である。

 BluStellarが目指すのは価値創造であり、システムはあくまでも手段だ。木村は「システムありきで考えるのではなく、あくまでもお客様の価値創造にコミットする。それが私たちのスタンスです」と語る。

木村 哲彦
NEC
Corporate EVP
デジタルプラットフォームビジネスユニットDeputy BU長
BluStellar事業推進部門長
インフラ・テクノロジーサービス事業部門長
木村 哲彦

BluStellarを構成する多様なノウハウと技術群

 「BluStellarのコンサルティングチームはお客様の課題を認識・共有した上で、お客様のITの将来像を一緒に考えます。その際、NECの豊富な実績の中から成功事例、先進事例などの情報を参照モデルとして提供します。お客様は、検討中の施策の有効性判断などに活用できるでしょう」(木村)

お客様のDX実現構想である「Agenda」、それを実現するための「Technologies」と「Programs」で構成
BluStellarの全体構造

 BluStellarはお客様のDXに関する経営課題に対して、NECが過去の経験から得た知見をもとに、目的にあわせてシナリオや戦略を組み立て、課題解決とDX実現をめざす「価値創造モデル」だ。

 BluStellar Agendaでは、解決したい課題やイノベーション創出のためのテーマなどを定め、それを実行するための具体的なシナリオを準備している。例えば、日本の特有のDX課題として取り上げられる「IT人材の不足」や「ITの運用・保守コストの肥大化」という課題に対して、どのようなステップでどこから検討していくべきかのベストプラクティスがBluStellarには詰まっている。全体シナリオを見通した上で、具体的な解決策としてはクラウドへの移行や運用・保守の自動化といった方法が提案されるかもしれない。

 「お客様の置かれた環境、お客様のやりたいことなどによって私たちの提案は変わります。お客様のニーズを踏まえ、ベストな解決策を提示するのが戦略コンサルタントの役割です」と木村。DXに向けた方針が定まれば、次はシステム構築を含む実行フェーズである。ここでは、「BluStellar Technologies」と「BluStellar Programs」が力を発揮する。

 BluStellar Technologiesが提供するのは、NECが長年磨いてきた幅広く厚みのある技術群である。キーワードのみを挙げれば、AIやIoT、生体認証、クラウド、サイバーセキュリティー、ネットワーク、5Gなど。これらの技術はNECの製品やサービス、ソリューションに組み込まれている場合も多いが、NECの研究所で培った先端技術やノウハウなども含まれる。

 AIを例にとると、業務の自動化・効率化、需要予測、設備の故障予測、ロジスティクスの最適化など幅広い領域で、BluStellar TechnologiesのAI活用事例は増えている。そのシステム構築に当たっては、AIだけでなく他の多くの技術要素が必要とされる。それらをまとめて提供できるのがNECの強みだ。

 加えて、業種や業界、課題などに対応し、スピーディーな価値提供ができるようメニュー化したサービスもある。「例えば、DX実現に向けたタレントマネジメント導入支援、営業プロセス標準化/SFA(営業支援システム)導入支援サービスなどがあり、さらに拡充する予定です」と木村は言う。

 NECの独自技術だけではない。NECのアンテナは世界をカバーしている。世界中の多様な技術やツールは厳しく吟味された上で、有効性の高いものが最適なシステムの一部として提案されるだろう。

BluStellarを適用した三井住友海上火災保険のプロセス変革

 企業がDXを目指す場合にも、システムだけでは解決できない課題がある。こうした非IT領域に対応するのがBluStellar Programsである。

 「当社の1万人以上のDX人材、蓄積されたナレッジにより課題解決を目指す。そのための各種サービスの総称がBluStellar Programsです。人材育成やDX教育、企業風土改革などのプログラムもあれば、お客様との共創プログラムやコミュニティーなどの場の提供もあります。BluStellar Programsは、価値創造モデルを支えるエコシステムと言うこともできるでしょう」と木村は語る。

 BluStellar Agenda、BluStellar Technologies、BluStellar Programsの3本柱を有機的に連携させながら、戦略コンサルティングからサービスデリバリー、運用・保守という一連のサイクルをフルサポートする。運用・保守の中で生まれた気づきは、次のDXや価値創造につながるかもしれない。また、環境変化により生じた新たな課題については、再び戦略コンサルティングの中で解決策が提案されるだろう。

 BluStellarを適用したDX事例は、あらゆる産業分野で増え続けている。その一例が、三井住友海上火災保険における生成AIを活用した事故対応業務のプロセス変革である。

 「事故発生時には、損害サポート部などが対応に当たります。一貫性のある高品質のサービスを提供するため、担当者は通話内容を記録して書き起こし、損害サービスシステムに登録します。多くの時間がかかりますし、担当者の負荷も大きい。こうした課題を解決するため、当社のコンサルティングチームが構想の実現から入り、お客様に最適なシナリオを提案、サービスデリバリーにつなげました。中核となる技術要素が生成AIです」(木村)

リアルタイムテキスト化→通話内容音声のリアルタイムテキスト化、テキストの要約→通話終了後に通話内容の要約
三井住友海上火災保険に導入した生成AIを活用した事故対応業務の画面操作イメージ

 NECの音声認識技術と生成AIによる文章要約技術を用いて、事故の経過を記録する業務を自動化。新たなプロセスはすでに一部の保険金お支払センターに導入されており、業務の大幅な効率化が期待されている。

 NECにおいて、個別SIは長年にわたり事業の大きな柱だった。このビジネスモデルそのものの変革を担うのがBluStellarである。

木村 哲彦

 「これまで、私たちはお客様に寄り添い、個別のニーズに沿ったシステム構築により、お客様とのリレーションを強化してきました。それはNECの強みでもありました。ただ、人口減少社会において、個別SIという人的リソースに依存するビジネスには限界があります。将来を見据え、NECは個別SIからValue Driver、いわばお客様の価値創造の駆動力へとシフトします。変革のプロセスは想定以上のスピードで進行しており、BluStellarを通じてNECは、社会に不可欠な企業であり続けることを宣言します」と木村。

 BluStellarはNECが挑戦するビジネスモデル変革の別名であり、Value Driverとしての同社をけん引するエンジンでもある。

BluStellarロゴ

未来へ導く、光となる。

    関連サービス