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2019年10月16日

社会価値創造レポートLifeline Infrastructure

銀行の新たな信頼
顧客起点の新しい金融サービスをあらゆる人と産業へ

 様々な領域におけるデジタル変革が進む中、各国政府は金融の競争力を高めるために、非金融業と連携して新たな価値を創造する銀行機能のオープン化を推進し、制度の整備を進めています。デジタル化により、CX(顧客体験)を追求した新しい金融サービスが次々と登場する一方で、デジタル能力が低いと、そのサービスの恩恵を享受できないといった課題も懸念され始めています。産業や暮らしを支える金融は、なくてはならない社会のライフラインです。NECは、デジタルが隅々まで浸透し、全ての人がテクノロジーの恩恵を受けられる「Digital Inclusion」な世界の実現に向け、金融機能のあらゆる産業や生活への浸透の推進をしています。本レポートでは、銀行のデジタル化に伴う国内外の動向を紹介します。さらに、社会のライフラインとしての金融インフラを最先端のデジタルテクノロジーを駆使して高度化、効率化することで人々の豊かな生活と経済の成長を支援するNECの考え方や取り組み、ソリューションやサービスをご紹介します。

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 以下、本レポートの前半部分を掲載しています。
金融のデジタル化を実現するNECの考え方や取り組み、ソリューション、サービスについてはレポートをダウンロードしてお読みください。

銀行のデジタル化が生み出すCXの高度化と新たな課題

オープンバンキングにより変わるビジネスモデル

 デジタル社会の進展に伴い、ビジネスモデルに変化が起きています。その背景にあるのが、金融サービス事業に参入する世界有数のグローバル・プラットフォーム企業の存在です。デジタル技術を駆使する彼らは、巨大な顧客基盤をベースにCX*1を追求した金融サービスを提供することで、顧客からの信頼を集めています。このような中、伝統的銀行は従来からの社会的ライフライン機能に加え、デジタル技術の活用により、CXを追求した付加価値の高いサービスを提供することが求められています。各国政府は、社会や産業を支える自国の金融の競争力を高めるための政策の1つとして銀行のオープンAPI*2を促し、非金融業とエコシステムを形成して新たなサービス創出を後押しするオープンバンキングの取り組みについて制度改革を進めています。

デジタル化により生じる新たな金融包摂

 銀行のデジタル化に伴い、スマートデバイスを駆使できるデジタル能力の高い人向けのサービス提供の競争が激化しています。それは、デジタル能力の高い人とそうでない人との間に格差を生む危険性をはらんでおり、デジタルによる金融包摂*3が注目され始めています。

 例えば、キャッシュレスが進み、便利と感じる人がいる一方で、銀行の支店やATMの縮小が進むことで、実世界の場で金融サービスの利用を望む人にとって不安や不便さを感じるという現実もあります。また、FATF*4対応に代表されるマネーロンダリングや特殊詐欺への対策方法次第では、外国人労働者の自国への送金や高齢者の高額振込を困難にするといった課題も生じます。

 経済活動や暮らしに欠かせない金融サービスは、世代やデジタル能力を問わず、全ての人が安全・安心で快適に利用可能とすべき社会インフラです。顧客に寄り添い、誰もが安心で快適に利用できるデジタル時代の新たな金融の仕組みを構築していくことが、これからの金融業界の大きな課題といえるでしょう。

*1 CX( Customer Experience):顧客体験

*2 API( Application Programming Interface):ソフトウェアコンポーネントが互いのやりとりで使用されるインターフェース。

*3 金融包摂: 全ての人が正規の金融機関が提供するサービスを、適正なコストの下で有効にアクセス・利用できるようにすること。

*4 FATF( Financial Action Task Force):1989年に設立された、マネーロンダリン
グ対策やテロ資金対策の国際基準の策定と履行状況の審査を行う多国間の枠組み。

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オープンバンキングで先行する欧州の取り組み

政府が推し進める競争力強化のための制度改革

 銀行と非金融業が連携して新たな価値の創造を目指すオープンバンキングの取り組みでカギとなるのが、オープンAPIです。銀行がCXを追求したサービスを得意とするフィンテック企業等の外部事業者にシステムへの接続仕様をAPIとして公開することで、顧客のパスワードをその事業者に公開することなく、安全にシステムを接続することができます。APIを活用することで、より利便性の高い金融サービスを提供しやすくなります。

 EUでは2015年、銀行等の金融機関に対しオープンAPIの提供を義務付けるPSD2*5が成立し、2018年1月に発効されました。また2016年4月にはGDPR*6が定められ、個人情報保護の強化を図る一方で、個人に対しデータを移管できる権利を与えています。GDPRは個人情報保護の観点と合わせて、個人データの流動性を高めるという点でも重要です。革新的な金融サービスを提供していく上で、個人データの保護と活用は重要なポイントとなります。

 大手4銀行が市場シェア85%を占める英国では、競争力の強化やイノベーションの創出を目的に、政府主導によるオープンバンキングに向けた取り組みを進めています。2014年にはフィンテックを活用した事業の育成を目的として審査制度「規制のサンドボックス」を導入しています。FCA*7による審査に合格した場合、事業者は期間と対象顧客を限定した実証実験を実施し、その結果を踏まえて一般市場へのサービス提供の可否が判断されます。

連携の進む金融・非金融業

 欧米を中心に、銀行機能をオープンAPI経由でフィンテック企業等に提供するBaaS*8、新しいビジネスモデルを掲げたチャレンジャーバンク*9が誕生しています。

 「伝統的銀行やチャレンジャーバンク」、オープンバンキングの基盤を提供する「BaaSプラットフォーム企業」、「BaaS上のAPIを活用したフィンテック企業等の外部事業者」の三者が銀行のデジタル化における事業者として活躍しています。伝統的銀行はフィンテック企業等と連携することで、CXへの満足という形で顧客の信頼の獲得や収益性の増加、新規顧客の獲得を図っています。また非金融業者は、銀行とエコシステムを形成することで、銀行法への対応や銀行システムの構築に時間やコストをかけることなく、迅速に金融サービスの市場投入が可能となります。

*5 PSD2( Second Payment Services Directive):二次決済サービス指令

*6 GDPR( General Data Protection Regulation):一般データ保護規則

*7 FCA( Financial Conduct Authority):金融行為規制機構

*8 BaaS( Banking as a Service):銀行サービスをAPIを介してクラウドサービスとして提供すること。

*9 チャレンジャーバンク:銀行免許を取得してスマートフォン等のモバイルで金融サービスを提供する企業のこと。英国のMonzo、ドイツのN26等

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新たな金融サービスの創出と課題解決に取り組む日本

制度改革によるサービス創出支援の潮流に乗る日本

 日本においても銀行とフィンテック企業等の連携を促進するべく、制度の改正や整備が進められています。2017年5月の銀行法改正では、邦銀に対しオープンAPIへの対応が努力義務とされました。その対応状況は、政府の成長戦略「未来投資戦略2018」によると、2018年3月時点、外国銀行支店を除く全邦銀139行のうち、インターネットバンキングを提供していない9行を除く130行が導入を表明し、130行中122行が2020年6月までの導入を表明したとしています。

 メガバンクをはじめ先進的な銀行では、すでにオープンAPIを利用したサービスを開始しています。家計簿アプリや貯金アプリ、生体認証アプリ等のモバイルアプリの提供、AIスコアによって適切な金利・極度額を提供する個人向け融資サービス、デジタル能力の高い人をターゲットとするSNSを利用した新銀行の設立等、新たなサービスの創出が活発化しています。

 また、新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進するために、2018年に施行された生産性向上特別措置法に基づき「規制のサンドボックス制度」が創設されました。これらの制度の活用によって、大手銀行に限らず地方銀行でも独自の情報を活かした金融サービスの提供が可能となり、地域経済の活性化に貢献することができます。

デジタル化に伴う新たな課題の解決が急務に

 2019年、GPFI*10の議長を務めた日本は高齢化先進国として「高齢化と金融包摂」をテーマに設定し、OECD*11と共同で高齢者の多様なニーズへの対応、高齢者への経済的虐待や詐欺への対応等、課題解決に向けた8項目からなるポリシー・プライオリティを策定しました。その中で、デジタル能力や金融リテラシー不足、認知能力・身体能力の衰えといった、高齢者の金融排除の原因が示されています。

 また、オープンバンキングを推進する上で、様々なシステムやサービスが連携することにより、サイバーセキュリティに対するリスクが懸念されています。社会インフラである金融業において、サイバー攻撃によるシステム障害や情報漏えい、改ざん等の発生は、国民生活や経済活動、さらにはネットワークを介して世界各国に甚大な影響を与えかねません。これらは喫緊の課題であり、その解決においても、やはり先進的なデジタル技術で対応することが必要です。

*10 GPFI( Global Partnership for Financial Inclusion):金融包括のためのグローバルパートナーシップ

*11 OECD( Organization for Economic Co-operation and Development ):経済協力開発機構

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