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Avaloqウェルスマネジメント調査レポート:グローバルにおける金融機関のウェルスマネジメントビジネスの現状

 本レポートは、グローバルにおける金融機関のウェルスマネジメントビジネスの現状を把握するため、欧州およびアジアの6つの市場において、リレーションシップマネージャー、投資アドバイザー、ポートフォリオマネージャーを対象に実施したAvaloqの調査レポートです。調査では、営業部門等で使用されているツールの適合性の問題や、また柔軟性の高い効率的なソリューションの必要性が示されています。

 近年、業務を円滑に遂行するためにツールとシステムを調和させる必要性が高まっており、AvaloqとNECは引き続きウェルスマネジメント業界の長期的な成長と成功の支援に取り組んでまいります。

 調査結果およびAvaloq社エキスパートの見解、日本のウェルスマネジメントビジネスに今後求められる変革のポイントをお伝えした内容は、ダウンロードの上ご参照ください。

① クライアントのオンボーディング

の回答者が超富裕層へのオンボーディングにかける期間は平均一週間以内と回答

 オンボーディング(クライアントが金融機関から商品やサービスを初めて提供してもらう段階)のプロセスはクライアントと金融機関のリレーション構築の最初の機会で、これがスムーズに行われればクライアントとの良好な関係性を築くことができます。本調査ではクライアントの保有する金融資産規模によりオンボーディング期間に差がみられ、アフルエント層、富裕層、超富裕層の中では、アフルエント層のオンボーディング期間が最短で、超富裕層はその期間が長い傾向があります。オンボーディング期間長期化の最大の問題点としては内部承認プロセスが挙げられ、その他の問題点としては手作業の量、情報の不備や書類作成、システムエラー等が挙げられています。クライアントのオンボーディングプロセスの改善は金融機関の競争上の優位性の獲得に繋がります。

② クライアントとのコミュニケーション

の回答者はクライアントの連絡でモバイルバンキングアプリを全く使用しないと回答

 クライアントとの関係性を継続的に育むにはタイムリーでパーソナライズ化されたサービス提供が必要で、特に経済的・地政学的な不確実性が高まっている際は速やかな対応が求められます。クライアントとの連絡手段については、多数がメールや電話、対面ミーティングで行われ、テキストメッセージやモバイルバンキングアプリはあまり使用されていません。ただし、地域による違いもあり、アジアの回答者はテキストメッセージやメッセージアプリをより好意的に利用しています。メッセージアプリの使用にはコンプライアンス上の問題を懸念している回答者が多いものの、安全性が確保できるのであればメッセージアプリを使用することに対し関心があるとの回答も多くあります。また、大多数の回答者がクライアント固有の情報の表示と共有についての改善を望んでいます。

③ 投資アドバイザリー

の回答者がクライアントとのミーティング中にリアルタイムで投資アドバイザリーシステムまたは、アプリケーションを使用

 クライアントは投資に関わる判断に関してデジタルツールやチャネルが増加している中でも人間による対応を重視し、同時に法規制の厳格化やクライアントニーズの高まりから専門家に対するニーズが高まっています。しかし、パーソナライズ化されたアドバイザリーサービスは時間不足等の問題もあり、そのサービスの提供は難しいと考える回答者も多くいます。また、現行システムは手順が多く、提案の作成に時間がかかると回答者の多くが感じています。回答者の半数以上がクライアントとのミーティング中にリアルタイムで投資アドバイザリーシステムまたはアプリケーションを使用しており、好意的に受け止めている一方、ユーザーインターフェイスやシステムの分かりにくさが課題とされています。これらの課題はデータ可視化機能の向上、データ分析機能の向上、クライアントミーティングの自動要約作成などの追加機能により改善できると多くの回答者が感じています。

④ 投資一任勘定の管理

の回答者が規制確認の自動化が改善をもたらすと認識

 クライアントは通常、モデル(標準)ポートフォリオの中から選択するか、カスタマイズ型の投資一任勘定を希望することができます。調査では投資一任勘定ポートフォリオ管理はプライベートバンキング業界で勢いを増し、クライアントが好むカスタマイズ型の投資一任勘定が人気を集めていることが示されています。全体として見れば、現行のポートフォリオ管理システムには満足している回答者が多い一方、否定的な回答も一定数あり改善の余地があります。特にポートフォリオのモニタリング、リバランス、構築機能の改善が有益だと回答者の大多数が感じています。また、ポートフォリオのモニタリング自動化と規制確認の自動化は、大幅な改善をもたらすと認識されています。このため、AIや機械学習技術の進化によってポートフォリオ管理の合理化・強化が期待されています。

⑤ テクノロジーによる業務高度化

の回答者はアプリケーション利用の習得に時間がかかりすぎると回答

 多くの金融機関は、テクノロジーの機能向上のために多額の投資を行っていますが、変革が完了したとは言えません。多くの回答者が複数のシステム・アプリケーションを使用しており、使用しているシステムはニーズに合っていると感じるアドバイザーがいる一方で、時代遅れ、情報を見つけにくいと感じるアドバイザーもいます。具体的な欠点としてはナビゲーション機能が分かりにくいと言う回答者の声が多くあり、特に、不必要な機能が多すぎると答えた回答者は51%、必要な機能がすべて備わっていないと答えた回答者は42%でした。これは、多くのプライベートバンクやウェルスマネージャーで使われているツールは適切なバランスを取れておらず、機能面に過不足があるためにユーザー体験が標準以下であることを強く示しています。また、統合データモデルを基盤としたプラットフォームの導入も求められており、それによる業務の効率化やクライアントへの高品質なサービスの提供が期待されています。