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2021年05月31日

ニューノーマル時代をリードする次世代店舗の姿とは
社会実証が進む生体認証技術。“レジレス型店舗”や“マルチモーダル生体認証決済”で「選ばれる店舗」へ。

2021年3月 日経電子版広告特集より転載

 コロナ禍において消費者の購買行動は大きく変化し、安心・安全が店舗選択における大きな基準の一つとなっている。そうしたなかでNECは新しい生活様式に対応したさまざまな店舗運営のソリューションを提供している。なかでも注目を集めているのが生体認証技術を組み込んだレジレス型店舗の運営やマルチモーダル生体認証を活用したセルフレジ決済だ。タッチレスといったニューノーマル時代に求められる価値。それを捉えた新たなお買い物体験を消費者に提供することで、“選ばれ続ける店舗”を実現しようという。そのビジョンとテクノロジーについてNECに聞いた。

新型コロナ感染拡大が小売業に与えた影響とは?

NEC
第一リテールソリューション事業部
スマートリテール推進部
マネージャー
山﨑 晋哉

 ──新型コロナウイルスの感染拡大はさまざまな業界に影響を及ぼしていますが、小売業においてはどんな変化が現れていますか。

山﨑:
 新型コロナウイルスの感染リスクを避けるため、消費者の間には、できるだけ人と対面しない、適切な距離をとる、密にならないといった新しい生活様式(ニューノーマル)が定着してきました。これに伴い、例えば生活必需品を買いに行く際の店舗選択にも変化が起きています。

 ──以前よりシビアに店舗を選択するようになったということですか。

山﨑:
 そうです。コロナ禍前は会社からの帰宅時に立ち寄れるコンビニやスーパーマーケットで買い物をしていた人たちが、テレワークになり、時間にも余裕ができたことで、地域の中でより安心・安全で欲しいものがある店舗を選ぶようになりました。

 ──そうした選ばれる側の小売業からは、NECにどんな相談が寄せられていますか。

山﨑:
 小売業のお客さまから挙がる声は、やはり安心・安全な店舗環境をつくるにはどうすればよいかということです。とくに非接触・非対面で買い物ができるレジの仕組みづくりなどには高い関心を示されています。実はこれにはもう一つの側面があって、これまで人に依存し過ぎていたオペレーションをできるだけ省人化・合理化し、人手不足の解消や収益力の強化にもつなげていきたいという思いです。

ニューノーマル時代の 「実店舗のあり方」と「お買い物体験」

 ──そうした課題を抱えている小売業に向けて、NECではニューノーマル時代を見据えたどんなソリューションを提案しようとしているのでしょうか。言い換えると、消費者に対してはどのようなお買い物体験を提供しようとしているのでしょうか。

山﨑:
 NECでは「Smart Retail CX」というコンセプトを掲げ、消費者から“選ばれる”小売業への変革に貢献しています。NECは40年以上にわたって、店舗システムをはじめとするさまざまなソリューションを小売業に提供してきた実績がありますが、その経験と知見を生かし、さらに発展させるべく2016年より実店舗を模した社内ラボ環境を構築し、あらゆる顧客体験ソリューションの検討を行ってきました。そして2020年2月から実店舗として「レジレス型店舗運営」というチャレンジを行っています。レジレス型店舗とは文字どおり、レジがない店舗で、消費者は欲しい商品を棚から取って、そのまま店を出るだけで自動的に決済が完了します。この仕組みを実現するコア技術としては、さまざまな生体認証技術のなかでもNECがとくに強みとしている「顔認証」を、入店時に利用しています。

●レジレスの基本的な仕組み

消費者が手に取った商品の特定は、店舗内に設置したカメラによる画像認識技術やIoTセンサーによるセンシング技術などを組み合わせることによって行われる。支払いはあらかじめ登録したクレジットカードなどで買い物終了と同時に自動的に決済される。これにより選んだ商品をカバンに入れてそのまま店舗から出るという体験を実現する。

 ──顔認証により店舗はそのお客さまが誰であるかを認識できるわけですね。とはいえコロナ禍の昨今、お客さまはマスクを着けて来店しますが、大丈夫なのでしょうか。

山﨑:
 まったく問題ありません。マスクをすると当然のことながら認証に用いることができる顔のエリアは半分程度になってしまいますが、NECの顔認証技術は高い精度を誇っています。そのため、入退管理などでも活用できます。なお、顔認証をはじめとする生体認証情報は究極の個人情報であるため慎重な取り扱いが求められています。NECでは2019年4月に「NECグループ AIと人権に関するポリシー」を策定しました。その考えにもとづきながら、例えば生体認証事業に関連する提案や開発の段階に、人権の尊重が反映されているかをチェックするプロセスを組み込むなど、社内制度の整備とその改善に取り組んでいます。

NECグループが取り組む次世代型店舗の実証

 ──生体認証による決済やレジレス型店舗は、すでに実用化されているのでしょうか。

山﨑:
 さまざまな試行錯誤を行っている段階ではありますが、セブン-イレブン・ジャパン様と協業によるマイクロマーケット領域向けの「三田国際ビル20F店」では2018年から各種実証実験を行っており、顔認証によるセルフレジ決済を開始しました。現在では複数の生体要素を組み合わせたマルチモーダル生体認証を導入したセルフレジ決済を行っています。また2020年にはNEC本社ビル内に「レジレス型店舗」を開設しました。こちらは社内コンビニとして実際に営業しています。

 ──レジレス型店舗を実際に利用している社員の評価はいかがですか。

山﨑:
 「出勤時のあわただしいなかでもロス時間なくお買い物ができて便利」「レジレスに慣れるとレジに並ぶことが無駄に感じてしまう」などの高評価を得ています。

 ──これら2つの新形態の店舗には、どんな違いがあるのでしょうか。

山﨑:
 レジレス型店舗は消費者にこれまでにないお買い物体験を提供しながら、店舗には消費者の購買行動情報をより深く理解しトップライン(売り上げ)を上げるための施策を次世代の技術で実現、運用を検証する場となっています。一方の三田国際ビル20F店は、今実現できるマイクロマーケット店舗から、より便利、安全を追求するために新しい技術による価値の検証の場という位置づけにあります。そのため、マルチモーダルの認証技術も導入しました。

次世代型店舗の社会実装を支える「マルチモーダル生体認証」

NEC
デジタルビジネス基盤本部
シニアエキスパート
小勝 俊亘

 ──マルチモーダル生体認証とはどのようなものなのですか。

小勝:
 レジレス型店舗を利用する消費者を認識するコア技術として、NECでは顔認証技術を採用していると説明しましたが、マルチモーダル生体認証は、複数の生体認証技術を組み合わせます。具体的には実証実験中の店舗では、顔認証に瞳の虹彩(アイリス)認証を組み合わせて決済を行っています。

●虹彩認証

虹彩とは黒眼の内側にある瞳孔の周りのドーナツ状の部分を指す。個々人で固有のパターンを持ち、生涯不変と言われている。また角膜に覆われて損傷しにくいため、生体認証に適した部位とされている。

 ──マルチモーダル生体認証を採用することで、どんなメリットが得られるのですか。

小勝:
 本人をより正確に認識・特定することが可能となります。もちろん顔認証でも十分な精度を得ることはできますが、完全とは言い切れないのも事実です。そこに複数の認証を組み合わせることで精度を100%に近づけることができます。

 ──どんな場面での利用が期待されているのでしょうか。

小勝:
 まずは高額商品の販売やATMなど、一般的な店舗よりも厳重な本人認証が求められる場面への適用です。そしてもう一つは、次世代型店舗の本格的な社会実装に向けてです。NECグループの数万人程度の社員に限定して利用しているうちは顔認証のみでも十分なのですが、広く社会に次世代型店舗を展開するとなれば、その10~100倍以上の消費者の本人認証を行う必要が出てきます。対象者が多くなればなるほど誤認識が起きるリスクが高まるため、マルチモーダル生体認証が必須となります。

 ──生体認証技術には他にも指紋認証や指静脈認証などがありますが、なぜ虹彩認証を採用することにしたのですか。

小勝:
 瞳は顔の一部ですので、カメラで撮った1つのフレーム内で顔と同時に虹彩を捉えることができます。これにより消費者に対して生体情報の登録時や認証時の負担を軽減することができます。例えば指紋認証だと消費者に2つのアクションを強いるとともに認証デバイスへの接触も発生させてしまいます。

 ──シンプルなユーザーインタフェースによる消費者の使い勝手の良さ、店舗側の運営のしやすさなどを考慮した結果、ベストな組み合わせとして顔認証と虹彩認証によるマルチモーダル生体認証に行き着いたのですね。

小勝:
 おっしゃるとおりです。補足すると虹彩認証にはもう1つの大きなメリットがあります。虹彩のパターンは左右の瞳で異なるため、顔認証と合わせて実質的に3つの要素を組み合わせたマルチモーダル生体認証として活用できるのです。

小売業の将来を見据えたNECのビジョンとテクノロジー

 ──NECとしては、マルチモーダル生体認証やレジレス型店舗のソリューションを今後どのように発展させていくお考えでしょうか。

山﨑:
 小売業の世界ではネット通販が拡大していますが、一方でリアル店舗に対する消費者のニーズも決してなくなりません。そうしたなかでNECが提供しようとしているのが次世代型店舗ですが、単に利便性を追求するだけでなく、消費者に“選ばれ続ける店舗”となるために必要な価値が何であるかをお客さまとともに考え、実証できるまで寄り添い、ソリューションのさらなる進化を図っていきます。

大勝:
 マルチモーダル生体認証というテクノロジーは小売業の店舗のみならず、サービス業や飲食業など幅広い業態で利用することができます。その先では“横のつながり”を持たせることも考えられ、地域や街全体、さらには社会全体の認証基盤として活用できる可能性も広がっていきます。そうした将来を見据えながら、NECとして小売業を取り巻く市場の活性化に貢献していきたいと考えています。

 ──本日は示唆に富む話をありがとうございました。

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