ここから本文です。

2019年03月12日

社会価値創造レポート Lifeline infrastructure

労働力不足を乗り越える
人とデジタルの協働で実現する流通・サービス業の持続的成長とは

 本格的な少子高齢化を背景に労働力不足が深刻な社会問題となる中で、企業は業種業態や規模を問わず、労働力の確保が急務の課題となっています。中でも運輸・郵便、物流、宿泊・飲食、小売といった流通・サービス業においては、労働力の不足や、EC(電子商取引)の急激な利用増などの消費者行動の変化も影響し、業務量の特定分野への偏りなどの問題が顕在化しています。

 そうした課題に対処していくため、政府や業界団体、企業では高齢者や女性、外国人の受け入れなど、多種多様な人材の活用に向けた施策を展開するとともに、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)など、デジタルテクノロジーを駆使した業務効率化の取り組みを積極的に推進しています。既に先進的な企業では、デジタルの活用による業務効率化を進めることで、従業員の負荷抑制によるEX(従業員体験)とCX(顧客体験)の向上につながる取り組みを加速させています。本レポートでは、労働力不足に直面する流通・サービス業の実態と課題、政府や先進企業の課題への取り組みを紹介するとともに、社会のライフラインである流通・サービス業の持続的な成長を実現するNECの考え方、取り組み、ソリューションやサービスをご紹介します。

 レポート全文はPDFダウンロード(NEC ID登録が必要)にてお読みいただけます。

このレポートをPDFでダウンロード

 以下、本レポートの前半部分を掲載しています。
人とデジタルのベストミックスを実現するNECの考え方や取り組み、ソリューション、サービスについてはレポートをダウンロードしてお読みください。

少子高齢化による労働人口の減少と社会、産業、生活への影響

2040年には1,285万人の労働人口が減少

 少子高齢化により日本の人口は減少の一途をたどっており、労働力不足が深刻な社会問題として浮上しています。実際、構造的な労働人口の変化が生じており、今後経済成長が進まず、女性や高齢者の労働参加が進まなければ、2017年には6,530万人だった労働人口が、2040年には5,245万人と、1,285万人も減少することが予測されています。※1さらに労働力不足の状況を産業別に見ると、労働者数が「やや不足」または「大いに不足」と答えた企業の割合は「運輸・郵便」(56%)、「宿泊・飲食」(51%)、「小売」(40%)など、流通・サービス業における約半数の企業で労働力が不足しているとの調査結果も報告されており、その深刻さが伺えます。※2

消費者行動の変化が流通・サービス業に大きく影響

 労働力不足はあらゆる業種業界に影響を及ぼしていますが、近年、特に流通・サービス業で深刻化しています。その背景にはどのような事情があるのでしょうか。1つにはECの普及など、ライフスタイルのデジタル化に伴い消費者の購買行動が変化し、労働力の特定業務への偏りを生んでいることが挙げられます。象徴的な事例が宅配業のケースです。ECの拡大は運輸・郵便事業者の取り扱い個数の増加をもたらし、2007年から2016年にかけて25%の伸びを示しています。一方、運輸・郵便業の就業者数はほぼ横ばいの状況が続いています。さらにBtoC※3需要に加え、ネットオークションやフリマアプリといったインフラの普及によってCtoC※4におけるモノの動きも活発化しており、今後も宅配便の取り扱い個数は拡大すると見込まれ、さらなる労働力不足が危惧されています。※5

 流通・サービス業の就業者数が伸び悩んでいる理由として、相対的な労働時間の長さや所得額の低さも指摘されています。宿泊・飲食業では「休暇が取得しづらい」、「賃金が低い」ことが労働力不足の理由として挙げられており、離職率も産業全体の14.9%に対して、同業種では29.8%と2倍の数値を示しています。※6

 デジタル化により消費者のライフスタイルが大きく変化する中で、対応に追われる流通・サービス業は労働力の偏りや不足により、従来のサービスレベルを維持しきれない状況に陥っています。所得改善や労働時間の削減、そして労働効率性の向上など、早急な対策の実施が求められているのです。

画像を拡大する

※1 出典:厚生労働省「雇用政策研究会報告書( 案)」

※2 出典:内閣府「マンスリー・トピック 052 人手不足感の高まりについて」

※3 BtoC: Business to Consumer

※4 CtoC: Consumer to Consumer

※5 出典:財務省「ファイナンス 平成30年10月号」

※6 出典:厚生労働省「第2回雇用政策研究会議事次第」

労働力不足の解消に向けて動き出した官民での取り組み

国内外で進む外国人労働者受け入れ政策

 労働力の不足を補うための施策には、主に2つが考えられます。1つは「多種多様な人材の受け入れ」、もう1つが「デジタルを活用した業務の効率化」です。前者の対策の1つに外国人労働者の受け入れがあり、日本と同様に少子高齢化による労働力不足が生じていたEUでは、早くから積極的な移民政策の見直し、およびその受け入れを推進してきました。例えばドイツでは、EU域外で専門技術を習得した外国人の資格認定を簡素化する「国外職業資格認定改正法」を2012年より施行し、高度外国人材の受け入れを促進しています。※7

 日本でも「経済財政運営と改革の基本方針2018」に基づき、政府主導による外国人労働者の受け入れに取り組んでいます。その一例が2018年に可決・成立した「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」です。これは外国人労働者の受け入れ拡大のため、労働力不足の分野で一定の技能を持つ外国人を対象に新たな在留資格「特定技能」を設定し、同資格の認定者は最長5年間※8、日本国内に滞在できるようになるものです。

 しかし、単に海外から労働者を受け入れるだけでは不十分で、いかに働き手として活躍できる人材として育成していくかが今後の課題になると考えられます。

官民で挑むデジタルによる労働力不足の解消

 デジタルを活用した業務の効率化でも、政府による施策が進められています。例えば、労働力不足と労務コストの上昇に直面している小売業の課題解決に向け、経済産業省とコンビニエンスストア各社は、2025年までに年間1,000億個と推計されるすべての取り扱い商品に電子タグ(RFID)※9 を利用することに合意し、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定しました。電子タグの利用推進により、レジ・検品・棚卸業務の高速化、消費期限管理の効率化など、店舗スタッフ業務の効率化と負荷軽減が期待されています。

 物流業界でも「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」に基づき、気象データのAI解析による需要予測とデータの共有化、 IoT、ビッグデータ、AIなどの活用によるサプライチェーンの全体最適化、自動運転による配送効率化などの取り組みが推進されています。

 このように労働力不足への対策として、高齢者や女性、外国人労働者など多種多様な人材の受け入れと、官民連携のデジタルの活用による業務の効率化や新たな価値の創造といった施策が打ち出されています。

画像を拡大する

※7 出典:法務省「諸外国における外国人受入制度に係る調査・研究報告書」

※8 特定技能1号の場合

※9 RFID: Radio Frequency Identification

デジタルが鍵となる持続的なサービスへの変革

デジタルによる業務革新で競争力を強化

 労働力不足で業務負荷が増大する中でも、企業はサービス品質を向上させ、競争を勝ち抜いていかなければなりません。小売業にとっての競争力とはEX とCXの向上であり、また、物流業であればサービスレベルを維持していくことにあります。これらの命題を実現するためにはデジタルの活用が不可欠であり、実際にデジタルによる業務革新を推進することで、大きな成果を上げている企業も登場しています。

 米国Walmartでは、従業員に対して2018年末までに1万7,000台以上の一体型VR※10ヘッドセットを用いた仮想トレーニングを導入しました。その結果、これまでのトレーニングと比較して満足度が30%向上した他、受講者の70%が他のトレーニング方法を用いた従業員と比較して高いパフォーマンスを示したと報告されています。※11従業員スキルおよび満足度を高めることで人材の離職を防ぎ、ひいては競争力強化につなげることが可能になります。

人とデジタルのベストミックスの追求が重要に

 流通・サービス業では、テクノロジーを用いた効率化の取り組みがなされています。その1つが決済の効率化で、小売業ではセルフレジの導入が企業規模の大小を問わず当たり前のものとなっています。レジ業務の負荷を減らしながらも、スムーズな買い物の実現によるCXの向上が期待されており、特にセルフ精算レジの2018年の設置率は54.6%と半数以上に達しています。※12

 物流業界でも、RFIDを用いた検品やロボットを活用した迅速な商品のピッキング、入出庫、配送仕分けなど、倉庫業務の自動化が積極的に行われており、先進的な事例も数多く見受けられるようになりました。

 このような業務効率化の取り組みを進めることで従業員の負荷を減らすだけでなく、顧客に対しても「買い物がより便利になる」、「荷物が希望した時間に届くようになる」などCXを向上させ、双方にとって多大なメリットをもたらします。

 労働力不足が叫ばれる中、企業は既存の業務を棚卸しし、対面接客など人が携わることで価値が高まる業務と、デジタルを活用することで価値が高まる業務をしっかりと見定め、それぞれに適切な改善策を打っていかなければなりません。つまり、人とデジタルのベストミックスを追求していくことこそが、企業の競争力を強化するための最善手に他ならないのです。

※10 VR: Virtual Reality( 仮想現実)

※11 出典:米国Walmartブログ( 2018年9月20日掲載)

※12 出典:一般社団法人全国スーパーマーケット協会、一般社団法人 日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会「平成30年スーパーマーケット年次統計調査報告書」

画像を拡大する

 人とデジタルのベストミックスを実現するNECのソリューション・サービスをご紹介しています。

 PDFダウンロードにはNEC ID登録が必要です。

このレポートをPDFでダウンロードして続きを読む

関連キーワードで検索

さらに読む

この記事の評価


コメント


  • コメントへの返信は差し上げておりません。また、いただいたコメントはプロモーション等で活用させていただく場合がありますので、ご了承ください。
本文ここまで。
ページトップ