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2019年04月18日

社会価値創造レポート Lifeline infrastructure

急がれる老朽化対策
デジタルで実現する 安全・安心で持続的な社会インフラのメンテナンス

 近年、先進国では社会インフラの老朽化が急速に進んでおり、老朽化を原因とする重大事故も発生しています。社会インフラの事故は人命に関わるためその対策が急がれますが、一気に発生するインフラメンテナンスのコストの増大や少子高齢化と業務自体の難しさに起因する高度人材不足など、解決が困難な課題に直面しているのが現状です。これらの課題を乗り越えるためには、事後保全ではなく予防保全をベースに官民一体となって取り組むとともに、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)など、デジタル技術の活用によるメンテナンスの高度化・効率化の推進が必要です。また新たに社会インフラの構築に取り組む新興国・途上国においても導入コストだけでなく、安全性・信頼性・強靭性を重視する傾向が強まっており、持続的かつ実効的な社会インフラの実現が世界中で求められています。本レポートでは、インフラ老朽化に対する世界での取り組みを紹介すると共に、より安全・安心かつ維持コストの負担が少ないデジタル時代の社会インフラ運用を実現することで、豊かな暮らしと経済成長の実現を目指すNECの取り組みやソリューションを紹介します。

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 以下、本レポートの前半部分を掲載しています。
レポートの後半部分、より安全・安心かつ維持コストの負担が少ないデジタル時代の社会インフラ運用を実現することで、豊かな暮らしと経済成長の実現を目指すNECの取り組みやソリューションについてはレポートをダウンロードしてお読みください。

世界で深刻化する社会インフラの老朽化

先進国で老朽化した社会インフラが加速度的に増加

 近年、先進国では高度成長期に次々と建設・整備された社会インフラの老朽化が急速に進んでおり、老朽化を原因とした事故が各国で多発しています。2007年、米国ミシシッピ川に架かる橋の崩落は死者13名、負傷者145名の大事故となりました。米国運輸省によると全米の25%の橋に欠陥があり、トンネルの12%が建設後100年を経過しているとしています。欧州では、英国ロンドンにおいて水道の約半分が建設後100年を超過しており、ドイツの高速道路の大部分が建設から50年を経過しています。※1

 日本でも社会インフラの老朽化は深刻です。国土交通省では2018年から2033年における社会資本の老朽化の推移を予測しており、道路橋は25%から63%、トンネルは20%から約42%、河川管理施設は約32%から約62%へと、今後20年間で建設後50年を経過する施設の割合が加速度的に高くなる見込みを示しています。※2

求められる予防保全による安全の確保と費用削減

 社会インフラのメンテナンス※3は人命に関わるため、その対応は急務です。一方で、その費用の抑制・平準化や、業務の難しさに伴う人材不足等、乗り越えるべき課題も多くあります。予防保全の考え方を基本とした社会インフラのメンテナンスを官民一体となって進めるとともに、ICTを積極的に活用し持続的かつ実効的な対策を実施することが求められています。

 日本国内の社会インフラにおけるメンテナンスの市場規模は約5兆円と言われています。一方世界に目を向けると、老朽化に加え需要拡大も重なり、その市場規模は約200兆円、そのうち欧州が22%、米国・カナダが15%であるのに比べ、アジア・オセアニアの占める割合は40%近くあります。※4

 国土交通省では2012年に死者9名、負傷者2名を出した中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故を踏まえ、2013年を「社会資本メンテナンス元年」と位置付け、社会インフラ老朽化対策として総合的かつ横断的な取り組みを進めています。これまでの実績と新たな知見を活かし、「事後保全」から「予防保全」に切り替えることで、5年後、10年後、20年後で維持管理・更新費が約30%減少し、30年後には約50%減少するとしています。※5

※1 出典:第31回経協インフラ戦略会議(2017年7月5日)

※2 出典:国土交通省 インフラメンテナンス情報「社会資本の老朽化の現状と将来」

※3 メンテナンス:維持管理・更新

※4 出典:国土交通省「インフラメンテナンスを取り巻く状況」

※5 出典:国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」

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先進国と新興国・途上国で異なる社会インフラ構築への取り組み

既設インフラの改修には民間のノウハウ活用が必要

 既設社会インフラの老朽化に悩む先進国と、急速な経済発展に伴い社会インフラの整備を進める新興国・途上国とでは、社会インフラのメンテナンスに関して取り組みや考え方が異なります。

 先進国では、既存施設の老朽化に伴う改修が非常に多くなるため、コスト負担が大きな課題となります。その解決策として重要なポイントとなるのが、民間のノウハウや資金の活用です。公共と民間が連携し公共サービスを提供する概念であるPPP※6は19世紀半ばにフランスで始まりました。PPPの新しい手法の1つとして、1990年代初頭の英国で導入されたPFI※7は、公共施設の設計・建設、維持管理、運営等を民間の資金や経営能力、技術力を活用することで、コストの抑制や効率化、サービス向上を図ります。PPP/PFIは欧州から世界各国に広まり、多くのインフラプロジェクトで活用されています。

 米国では、近年PPPが急拡大するのに伴い、PPP関連法を制定しています。対象分野は空港、道路、水道など幅広く、米国企業を優遇するバイ・アメリカン法により受託は米国企業が中心ですが、先端技術が必要な領域等で外国企業も受託しています。またPPP制度が発展している欧州では、欧州企業が提案力、技術力、ファイナンス組成等の面で優位性があることから、域外企業の参入は少ないのが現状です。

新興国・途上国に求められる質の高い社会インフラ

 新興国・途上国は経済成長や人口増加に伴う新規のインフラ整備が進められており、その建設にあたっては先進国企業の参加により価格競争が激しさを増しています。先進国の事例や経験を活かし、社会インフラを一挙に整備できることは新興国にとって大きなメリットがあります。その一つが、サステナブルな経済成長です。例えば、低い停電率や舗装された道路を有する国は、海外からの企業誘致や生産性の向上による経済成長の可能性が広がります。新規建築が急増している新興国・途上国では導入コストの削減が重視される傾向にありますが、社会・経済を支え続けるためには社会インフラの安全性・信頼性・強靭性などの観点が欠かせません。また運用コストをみても、質の低いインフラの修繕や運用保守分野の人材不足などが懸念されるため、建設から運用管理までをトータルで捉えることが重要となります。

※6 PPP:Public Private Partnership、公民連携

※7 PFI:Private Finance Initiative、民間資金等活用事業

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産官学民一体で取り組むインフラ老朽化対策

産官学民によるオープンイノベーションで課題解決を推進

 日本において高度成長期に整備された社会インフラの老朽化が進む中、人口減少や地域経済縮小、技能継承者不足、国債増加等、様々な課題がインフラ維持管理を困難にしています。2014年、国土交通省ではインフラ長寿命化計画を策定・実行し、新技術の開発・導入に取り組み、インフラの安全性を確保しつつ将来的に増加するメンテナンスコストの縮小・平準化を図っています。

 2016年には、日本社会全体でインフラメンテナンスに取り組む機運を高め、産官学民が知恵や技術を出し合い、オープンイノベーションによって持続的にインフラ老朽化の課題を解決に導くことを目的とした「インフラメンテナンス国民会議」が開設されました。同会議は開設当初の会員数199者から2018年に1,533者※8へと7倍以上の規模に拡大し、新たな取り組みを進める地方公共団体・民間企業の課題解決の支援や、ベストプラクティスの水平展開等、海外市場への拡大を含め、その活動を本格化させています。

対策の鍵は新技術開発と事業スキーム構築

 内閣府が2014年度から始めた戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が府省・分野の枠を超え、自ら予算配分し基礎研究から実用化・事業化までを推進していくプログラムです。SIPの研究課題の一つ、「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」では、点検・モニタリング・診断技術、情報・通信技術、ロボット技術等、インフラの安全・安心をテクノロジーで実現するべく産官学民が一体となって研究開発に取り組み、本プログラムで開発された技術の社会実装に加え、地域社会定着への支援を行ってきました。また国際協力機構(JICA)などとも提携し海外展開にも取り組んでいます。

 日本は欧州を中心に活用が進むPPP/PFIの活用にも積極的です。その着実な推進を図る観点から、政府は10年間(2013年度から2022年度)のPPP/PFIの事業規模として21兆円を掲げており、その目標達成に向けて公共施設の管理者や民間事業者に対する国の支援強化や、上下水道事業におけるコンセッション事業※9の着実な導入促進を図っています。

 今後も社会インフラメンテナンスは、AIやIoTなどの先端技術を駆使しつつ、産官学民が総力を結集し取り組みを進めることで、メンテナンスコストの抑制を図りながらスピード感をもってインフラ老朽化対策を推進していくことが重要なテーマとなります。

※8 出典:「平成30年度 インフラメンテナンス国民会議事業計画書」

※9 コンセッション事業:高速道路等、料金徴収を伴う公共施設等の運営を、施設の所有権を公共主体が所有したまま、民間企業が行う事業方式

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 レポートの後半部分では、より安全・安心かつ維持コストの負担が少ないデジタル時代の社会インフラ運用を実現することで、豊かな暮らしと経済成長の実現を目指すNECの取り組みやソリューションをご紹介しています。PDFをダウンロードいただき、是非ご一読ください。

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