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顔認証決済とは?DXやコロナ禍で注目される理由や活用シーンを徹底解剖!

 従来の現金払いやクレジットカード決済に加え、近年ではスマートフォンを活用したQRコード決済や電子マネー決済の利用も急速に拡大しています。そんな中、よりDXを加速させ、コロナ禍でも安心で快適な決済手段として注目を集めているのが顔認証決済です。

 ここでは、顔認証決済の活用シーンや利用ステップ、普及にむけてのポイントや導入事例などを解説していきます。この記事を参考に、ぜひ貴社でも顔認証決済の導入をご検討ください。

いま注目が高まる「顔認証決済」とは?

 顔認証決済とは、その名の通り顔認証システムを利用した決済技術です。そのベースとなる「顔認証」は、指紋認証や虹彩認証などと同じ生体認証の一種で、映像や画像の中から人を判断する技術です。顔認証技術の処理は、画像中から「顔がどこにあるか」を検出し、瞳、鼻、口など、「その人の顔の特徴的なポイントがどこにあるか」を見つけ、検出された顔の特徴点から「誰であるか」を判定するという高度な分析を要するものです。また、その精度は「顔検出技術」・「特徴点検出技術」・「顔照合技術」といった基本技術から成り立っています。

広がりつつある顔認証技術の活用シーン

 顔認証システムは主にセキュリティルームへの入室などに利用されていますが、顔認証決済の普及が進めば、小売業界をはじめテーマパークや百貨店、スーパー、学校、オフィスなど、さまざまな業界で活用できるようになるでしょう。他顔認証サービスとの連携も行えばさらに先進的な環境にも繋がっていきます。いくつかの活用シーンをご紹介します。

小売り

 会計、決済では待ち時間が短縮されるだけでなく、ポイント連携といったお客様への提供に加えて、入退等のサービス連携により自社従業員/アルバイトでもご利用いただけます。

百貨店

 店舗での決済に留まらず、サロンでの「おもてなし体験」の提供や、お得意様のご自宅でのお支払いまで、ワンストップでご利用が可能です。店舗や自宅でのスピーディな決済や、両手が荷物でふさがっているお客様でもデバイスレスで決済が可能になります。

テーマパーク

 非日常な雰囲気はそのままに、手ぶらでチケットの購入やパーク内での商品購入などに活用できます。新しい体験の提供で新しい利用者の誘致やリピーターの創出も期待できます。

オフィスや学校

 食堂や売店での決済のほか、入退やPCのログイン等のサービスと連携すれば、セキュリティゲートの通過やロッカーの施錠・開錠など、デバイスレスで先端的な環境の実現にも繋がります。

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顔認証決済の利用ステップ

 顔認証決済を利用するためのステップはいたってシンプル。デバイスレスでセキュアに決済することができます。

  • 利用者が事前に顔情報、決済情報を登録する
  • 商品・サービスの購入時に利用者の顔認証を行う
  • サービスによって事前に設定した確認コードを入力する

 2回目以降の利用で1の登録作業は不要です。そして3はセキュリティ向上の側面もあります。
また、コロナ禍では2のステップの時にマスクを外さずに顔認証できるかも重要なポイントの一つです。

事業者が顔認証決済を導入する理由

 事業者側が顔認証決済を導入する理由とは何でしょうか。以下のようなメリットが得られ、DX加速としても期待が高まっていることが分かります。

店舗業務の効率化を推進できる

 店舗側では、店舗運営における以下のような業務の効率化ができます。

  • 会計にかかる時間の短縮
  • 働レジ数の削減
  • 釣銭用の小銭両替回数の抑制

 また、会計時間が短くなることで利用者の待ち時間が短縮され、顧客満足度の向上にもつながります。

手ぶらで衛生的な決済環境を実現

 顔認証決済には現金もクレジットカードもスマートフォンも不要なため、利用者は手ぶらで決済ができます。店員との接触も最低限で済むため、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)でも効果的です。

快適な顧客体験を創出できる

 最先端技術を活用した顔認証決済は、購買時のお客様に対してこれまでにはない感動体験を提供できます。スムーズかつセキュリティ面に優れた顔認証決済により顧客満足度の向上やリピーターの創出が期待できます。事業者でのご導入に限らず、自治体でのまちおこしや地域DXの一環として導入された事例もいくつかあるようです。

幅広い年齢層の人が利用できる環境を整備

 スマートフォンを利用したQRコード決済や電子マネー決済は、決済時のスマートフォン操作やお金のチャージなどに手間がかかり、高齢者や子供の利用が進みにくいという課題があります。一方、顔認証決済であれば一度設定をすれば難しい操作は必要なく、顔を近づけるだけで決済できるため、幅広い年齢層の人が利用できる環境を整備できます。

顔認証決済普及に向けて

 顔認証決済サービスは非常に便利である一方、国内での導入事例はまだ少なく、普及はこれからといえます。顔認証という特殊な技術を使った新しいサービスなので不安を持たれる事業者や利用者もいらっしゃることが理由の1つかもしれません。サービス提供企業はそのような点にも配慮したサービスを開発しています。NECにおける取り組みを、こちらでご紹介します。

認証精度

 顔認証の精度について懸念されている方もいらっしゃるかと思いますが、信頼度の高いサービス提供の為、企業は日々技術開発に取り組んでいます。NECでは世界No.1の精度*の技術を使っており、双子やマスクをしている状態でも高精度な顔認証が可能で、マスクを外すことなく決済いただけます。NECの顔認証決済の特徴は以下のページで詳しくご紹介していますので、併せてぜひ参考にしてください。

顔認証決済~精度世界No.1顔認証キャッシュレス決済~: FinTech | NEC

個人情報の管理

 個人情報管理を心配されるお客様がいらっしゃると思いますが、顔認証決済では顔画像データはどこにも保存されない仕様になっています。撮影した顔画像データは顔の特徴量の抽出都度削除しており、画像データの漏洩などは起きない仕様になっています。NECではAIの社会実装や生体情報をはじめとするデータの利活用において、「NECグループ AIと人権に関するポリシー」を策定し取り組んでいます。

AIと人権: 社会 | NEC

顔認証決済の先進活用事例

 顔認証決済はまだ大規模な普及には至っていないものの、いくつかの日本国内の企業では導入が広まっています。ここでは顔認証決済の活用事例をご紹介します。

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

 株式会社セブン-イレブン・ジャパンでは、時代に求められる店舗の形を追求するため、顔認証決済の実証実験をスタートしています。

【課題背景】
顔認証決済を提供することで、さらなる快適な顧客体験の実現や店舗運営の効率化を目指す

【実施概要】

  • 2020年3月16日よりセブン-イレブン社員向けに顔認証決済の実証を開始
  • 専用端末を用いて事前に顔画像やクレジットカード情報、確認用コードを登録することで、セルフレジ支払い時に顔と確認用コードの2要素認証で決済可能に

NEC、セブン-イレブンの実験店舗において、顔認証決済や商品案内用サイネージの視聴時間測定の実証を開始

ダイドードリンコ株式会社

 ダイドードリンコ株式会社では、顔認証による購入が可能となる日本初の自動販売機「顔認証決済自販機」の実証実験をスタートしています。

【課題背景】

  • 自販機に顔認証決済サービスを導入し、"手ぶら"で飲料を購入できる仕組みを実現する
  • オフィスや工場などにおいて財布やスマートフォンなどを持ち歩かずに済む「便利」さや「快適な環境」を実現する

【実施概要】

  • 2020年7月3日(金)よりダイドードリンコ自販機での顔認証決済サービスの実証実験を開始
  • 自販機での購入時に顔とパスコードの2要素で決済可能に

日本初!自動販売機で"手ぶら"購入が可能に 自動販売機での顔認証決済サービスの実証実験を開始

 なお、本実証実験を踏まえて、2022年4月から本展開されています。

マスク着用時の認証も可能で、圧倒的な利便性を提供!
日本初!自動販売機での顔認証決済サービス 「KAO-NE(カオーネ)」の本展開を開始別ウィンドウで開きます

NEC

 NECでは、New Normal(ニューノーマル)時代の新しい働き方をDXの力で実現するデジタルオフィスのプロジェクトをスタート。その取り組みの中で、顔認証決済を活用したマスク対応レジレス決済(社内売店)の実証実験を行いました。店舗内に設置したカメラや映像認識技術などを活用し、利用者は手に取った商品をレジに通すことなく決済できる仕組みです。マスク着用時でも決済ができ、感染症対策としての安全性とスムーズな購買体験を両立する仕組みの構築に成功しています。

NEC、New Normal時代の新しい働き方をDXで実現するデジタルオフィスのプロジェクト始動

まとめ

 顔認証決済は、決済の手軽さと認証精度の高さから、今後より決済の利便性を高める仕組みとなるでしょう。日本国内では実証実験での導入事例が多いですが、DXの加速にむけて今後多くの企業で商用利用が進んでいくと考えられています。

 顔認証決済の利用にはセキュリティ面や精度面など不安な点もあるとおもいますが、サービス提供企業はそれらを払拭できる仕組みを導入しており、導入によって店舗側・利用者側ともに大きなメリットを得られます。また今後は店舗のみならず、オフィスや学校、テーマパークなどさまざまなケースでの活用が期待されます。

 店舗運営効率化や新しい顧客体験の創造に向けて、ぜひ顔認証決済の導入を検討してみてください。

 また、NECの「顔認証決済サービス」は2022年7月にパッケージ化され、幅広いお客様に向けて導入しやすいものとなりました。導入ケースもスモールスタートから大規模利用までさまざまで、用途およびコストに合わせて活用できます。直近の事例については、下記をご覧ください。

NEC、海陽学園へパッケージ化により導入の容易性を高めた「顔認証決済サービス」を提供

  • NECは、米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ベンチマークテストで5回のNo.1を獲得。
  • NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません。