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2018年08月02日

規制緩和で拡大する米商用ドローン・ビジネスの現状
~北米ドローン・コンサルタント 小池良次~

 2018年5月2日。その日は、米国最大のドローン展示会XPONENTIALの2日目。コロラド・コンベンション・センターに程近いレストラン「スタウド・ソーシャル」には、エネルギー業界のドローン関係者が続々と集まってきた。彼らは日頃、送電線やガス・パイプラインなどのドローン・インスペクションに携わっている。同夜は100人ほどが、ロビー団体EDC(Energy Drone Coalition)主催のパーティーに集まっていた。話題は、なんといっても「目視外飛行」などアメリカ政府が進めるドローン規制緩和だ。

商用ドローン市場をリードするエネルギー業界

 2012年、アメリカは連邦航空局近代化改革法(FAA Modernization and Reform Act、FAAMRA2012)により、世界に先駆けて商用ドローンの規制緩和へと舵を切った。それから6年。アメリカのドローン市場は中国に並ぶ世界最大規模に成長しており、ホビーを含めれば120万機(FAA推定)を超えるドローンが飛び交っている。

 ピョンチャン・オリンピックの開会式で1,218機のライティング・ドローンが夜空を飾ったように、様々な分野で商用ドローンが活躍している。その用途は各種空撮を筆頭に橋梁や産業設備検査、精密農業などに広がっている。また、DJI社などのプロシューマー・タイプにも衝突防止装置などが装備され、安定した運用も可能になっている。

 特に、電気やガスなどの米エネルギー業界では大手が先を争って商用ドローンの導入を進めており、既に数百億円規模に達していると業界関係者は推定している。

蜂の減少で果樹園では林檎などの受粉を行う商用ドローンが利用されている
(撮影:筆者)

 商用ドローンを管轄する連邦航空局(FAA)は、ドローン操縦免許を軸とする大幅な規制緩和(Part107ルールと呼ぶ)を2016年に実施した。日本の商用ドローン規制は「操縦免許が必要ない」といった違いはあるにせよ、内容はほぼ同じ。日米ともに、定期運用での夜間飛行や頭上飛行、目視外飛行などは解禁されていない。

 たとえば、大手電力ガス事業者のXcel Energy社は18年5月、コロラド州デンバー市で行う「送電線定期点検で初の目視外飛行免許」をFAAから得ているが、これが唯一の認可ケースにすぎない。

 しかし、エネルギー業界にとって「ドローン導入の本命」は、大型ヘリコプターを使う山岳部などの送電線点検だ。専用ヘリは1時間あたり約20万円とコストがかさみ、ドローンに切り替えられれば大きなコストダウンに結びつくだけでなく、作業員の安全も確保できる。

Xcel Energy社北部UASテストサイト
(出典:同社プレスリリース)

 こうした長距離に伸びる施設をリニアー・インフラと呼ぶが、その点検には目視外飛行が欠かせず、エネルギー業界だけでなく、米商用ドローン業界にとって重要な課題といえる。

アメリカには120万台のドローンが飛ぶ

 規制緩和の行方を検討する前に、まずアメリカのドローン・マーケットについて触れてみよう。

 FAA(連邦航空局)が2018年3月に発表した航空白書「FAA AEROSPACE FORCAST 2018-2038」によると、アメリカの空には約120万台のドローンが飛び交っているようだ。

 同白書は、ホビーと商用に分けてドローン市場を分析している。ホビー用ドローンは、2017年の110万台から2022年には240万台に倍増し、同5年間の平均年間成長率は16.9%と予想している。しかし、後述するように貿易摩擦や安全保障などで中国製ドローンの輸入規制などが起これば2022年に196万台にとどまる。逆に、米国が積極的に国内市場を開放すれば、同317万台と高成長が期待できる。つまり、ホビー用ドローン市場(2022年)は196万台から317万台の間と予想している。

 昨今の状況を見ると、ホビー・ドローンが低成長に陥る可能性もあり得る。ホワイトハウスは、中国製ドローンがアメリカ市場を席巻しておりを安全保障の面から懸念を示している。それに関連し、米商務省はドローンの産業分類変更を検討している。もし、DJIなどのプロシューマー機種について、玩具(Toy)から精密機器へと品目が変われば、輸入関税がかかる可能性も出てくる。そうした事態になれば、低成長ケースは十分に起こるだろう。

 次に、商用ドローン市場を見てみよう。現在の規制環境が続けば、2017年の110,604台から2022年には451,800台に増加(平均年間成長率32.5%)する。もし、夜間飛行や目視外飛行、操縦者1名1機運用などの規制が緩和された場合は高成長が見込まれ、2022年に717,895台(平均年間成長率は45.4%)に達する。

 また、商用ドローンはコンシューマー・グレード(1機2,500ドル)とプロフェッショナルグレード(同25,000ドル)に大別される。現在、コンシューマ・グレードが商用ドローン市場を98%と席巻している。しかし、長時間自律飛行が可能な目視外専用機などの商用ドローン市場が成長し淘汰が進めば、コンシューマ・グレードの占有率は低下してゆき、2022年までに90%を下回るとFAAは予測している。

連邦交通局、商用ドローン規制緩和に意欲

連邦交通省(DOT) Steven Bradbury氏

 2018年4月30日から4日間、コロラド州デンバー市でXPONENTIAL(エクスポネンシャル)が開催された。同展示会は、航空ドローンだけでなく、陸上や海上/海中ドローンなども含まれる。

 初日の基調講演に立った連邦交通省(DOT、FAAの上部組織)のSteven Bradbury氏(General Counsel)は、「商用ドローンは社会的・経済的なメリットが大きく、安全の確保を前提に規制は最小限度にしたい」として目視外飛行や夜間飛行の実現に前向きな姿勢を示した。

 一方「もし1回でも大事故がおこればドローンの規制緩和は破綻する。加えて州政府や地方自治体はプライバシー問題に神経を尖らせている」として、DOT/FAAが慎重に対応してゆくことも強調した。

 また同氏は規制緩和について、次のような点で具体的な方向を示した。

  1. ドローン配送:コミューター・エアー規制(14CFR Part 298)の援用により緩和を進める。
  2. LAANC:一般向け商用ドローンの運用についてはLAANCの全米展開を加速する。
  3. Sec. 336:頭上飛行などの実施には「Sec 336の変更」が必要。
  4. UTM(ドローン管制システム):議会が導入のための法案を検討しており、FAAはそれを受けて動き出す。

 以下、上記の4ポイント(ドローン配送、LAANC、Sec. 336、UTM)を順次解説してゆきたい。これらのポイントは、いずれ日本でも検討/導入される可能性が高く、日本で商用ドローン・ビジネスを検討するための試金石となるだろう。

 まず、1点目の「ドローン配送」に関しては、日本でも規制緩和が今年進められたが、アメリカでは定期運行の議論が進んでいる。

 ドローン定期配送をする場合、航空貨物輸送の事業認可をDOTから得なければならないが、前例がないためどのような申請をすればよいかは不明だった。

 しかし、18年4月末、DOTは既存航空貨物事業者の認可基準をベースにドローン配送の事業認可を検討するとした。これは朗報だが、既存航空貨物輸送の事業と同じ基準では、Google社やAmazon Prime Air社、DHL社やUPS社などは良いとしても、ベンチャー企業が簡単にドローン配送を実現することは難しくなった。

 日本では2018年内にドローン配送を実現するという政府の目標があるが、現状では具体的な運行事業者が現れていない。このペースでは、中国についで米国にドローン配送の定期運行事業者が現れることになるだろう。

Google社のドローン配送実験、18年3月現在
(FAAシンポジュームで筆者撮影)

空港近辺で商用ドローンを飛ばす

 次に、2点目の「LAANC(Low Altitude Authorization and Notification Capability)について説明しよう。これは大雑把にいうと、飛行免許の電子申請を促進するということを指している。

 アメリカで商用ドローンを飛ばす場合、課題は空港や政府の重要施設の近辺だ。この飛行禁止区域で飛ばすためには、FAAの特別認可が必要だが従来の書類申請では約90日かかっていた。これを電子申請で処理するのがLAANCだ。

LAANCエリアマップ(出典:FAA)

 具体的には、LAANCに対応するフライト・プランナー・アプリ(AirMapやSkywardなど多数)で飛行プランを決め、LAANCのサーバーに照会すれば、即座に認可/拒否の結果が出る。

 LAANCは電子申請を処理するだけではない。飛行プランを立てるための情報や空港関係者への通知機能などがある。現在のところ、全米で利用可能になるのは2018年9月13日を予定している

 では、日本でもLAANCのようなシステムが必要だろうか。

 アメリカでは、主要空港施設だけでも約500ヶ所、コミューター空港や農薬散布機などが離発着する滑走路を含めれば約1万3,500の空港があり、LAANCのようなシステムがなければ、商用ドローン・ビジネスは成り立たない。

 日本でも空港近辺や政府の重要施設近辺では飛行が禁止されているが、アメリカほどの緊急性はないだろう。日本は主要空港が約50ヶ所、商用ドローンの運用数も少ないため、現在のところは書類申請でなんとか運用できる範囲といえる。とはいえ、将来の需要拡大を見越して、国土交通省では、LAANCのようなシステムの導入議論が動き始めている。

ホビー・ドローンに免許制導入を狙う

 次に、Sec.336問題を解説したい。これはFAAMRA2012(連邦航空局近代化改革法)第336条のことで、FAAはホビーに使う模型飛行機やドローンに対する「規制権限はない」という内容だ。

 ところが、空港に侵入してニアミスや飛行場の閉鎖を引き起こしているのは、ほとんどホビー・ドローンであり、同条項のために「政府(FAA)が取り締まれない」という厄介な問題を引き起こしている。

 また、商用ドローン業界は、第336条によって頭上飛行や目視外飛行の解禁が進まないことに憂慮している。実際、商用ドローンのロビー団体Commercial Drone Allianceは、第336条自体の「廃止」を求めてきた。

 ホビーにせよ、商用にせよ、本格的な普及の鍵は「頭上飛行」といわれている。小型ドローンの技術は急速に進歩しており、不動産物件の空撮写真から海水浴や運動会の記念写真まで様々な空撮が簡単にできるようになっている。もし、頭上飛行ができるようになれば、米国でも日本でもドローンは急速に普及するだろう。

 250グラム以下の小型ドローンによる頭上飛行は技術が成熟しており、FAA(連邦航空局)も早期解禁を狙っている。規制が緩やかな中国深セン市などでは、小型ドローンが街中を飛び交っている。

 そう考えれば、頭上飛行を解禁しても良さそうだが、トランプ政権は「リモートID義務付けが必要」との見解を示している。つまり、頭上飛行を解禁したいが、そのためにはリモートIDの義務化をしなければならない。ところが「その義務化は第336条のおかげで、大多数のホビー・ドローンに適用できない」という堂々めぐり状態にアメリカは陥っている。

リモートIDの適用4分野
(出典:FAA UAS ID Report 2017)

 もう少し詳しく述べよう。リモートID(遠隔機体識別)とは、飛んでいるドローンから無線などで識別信号を出し、登録データベースからオペレータを見つけることが可能になる技術だ。

 トランプ政権はドローンを使ったテロ事件などを懸念してリモートID搭載を狙っているが、第336条がそれを阻んでいる。そこでFAAは連邦議会に同336条の修正を求めている

 また、こうした経緯から、Peter DeFazio, D-Ore下院議員は今年、第336条項の修正を求める法案を起草し、2018年4月23日に連邦下院を通過させた

 この法案は単純にいえば、ホビー用ドローンの操縦も、アマチュア無線などと同じ免許制にする内容で現在、連邦上院で審議されている。免許制を導入すれば、ホビー用ドローンにもリモートIDの義務化が可能になる。ちなみに、イギリスも2019年11月からホビー・ドローンを含めた免許制度を導入する。

 日本では「ドローンの操縦免許は商用もホビーも必要ない」という点で、非常に緩やかな規制を実施している。日本には多くのドローン・スクールがあり、独自の認定制度があるが、法的な義務は一切ない。今後、ドローンの飛行数が増えれば、免許制度も必要になるかもしれない。しかし、緩やかな規制で問題なければ、それに越したことはない。

秒読みに入るドローン管制システムの導入

 さて、規制緩和における最後のポイント、ドローン管制システム(UTM)について見てみよう。

 UTMは、商用ドローンを安全に運用するために欠かせない。その役割は1)ヘリコプターなどの有人航空機との事故を未然に防ぐこと(有人機&無人機管制システムの統合)、2)商用ドローン同士が円滑に飛行できるように飛行計画や運行を調整すること(UAS間調整)にあるxiii

 すでにFAAの今年度予算でUTM調査予算が承認されており、ドローン業界では19年度にFAAによる本格的な構築を期待している。

Amazon社の考えるUAS間運行調整
(出典:Amazon)

 そうした連邦政府の動きにしびれを切らせるように、UTM業界では州政府をターゲットにした売り込み競争が熱気を帯びている。その舞台となっているのが、2018年5月10日にDOT(米連邦交通省)が発表したUAS統合パイロット・プログラム(IPP、UAS Integrated Pilot Program)だxiv

UAS IIPに選ばれた10プロジェクトの分布図
(出典:FAA)

 たとえば、IPPに選ばれたカンザス州Topeka市(Kansas Department of Transportation)のプロジェクトでは、州全域でのUTM(ドローン管制システム)整備による低人口地域における視野外飛行の支援と精密農業の促進を狙っている。

 カンザス州は、いち早くAirMap社のUTM導入を進めており、それを活用しながら商用ドローン衝突防止(検知&回避)システムやADS-B(Automatic Dependent Surveillance - Broadcast,空中衝突防止通信システム)と衛星通信、ジオフェンシングなどの技術を駆使するドローン・オペレーションの実現を目指している。また、地域社会との調和をベースに商用ドローンの多種多様なオペレーション支援体制を狙っている。

 日本ではUTMを「ドローン運行管理システム」と呼んで、研究開発も進んでいる。国産ではNECやNTTデータ、海外ベンダーではUniFly社(日本代理店:テラドローン社)やAirMap社(同:楽天エアマップ)が競争を展開している。

 しかし、UTMのコンセプト設計を進めている段階で、実際の導入を進めている米国に比べると「もはや追いつけないのではないか」という懸念さえ感じる。もちろん、日本独自のUTM仕様で日本ベンダーを守ることはできるが、そうした消極的な対応ではなく、グローバル市場で営業・販売できる日本版UTMをベンダーが開発することを期待したい。

目視外飛行に備える民間の動き

 米連邦政府の規制緩和を期待しながら、米ドローン業界では技術開発を加速させている。たとえば、今年のXPONENTIALでは、ドローン・サービス大手PrecisionHawk社が独自のフライト・プランナー(Precision Flight Enterprise)を使った目視外飛行サービスおよびコンサルティング・サービスを発表した。

 これはハイブリッド方式で約2時間飛行できるマルチ・ローターや固定翼を利用するサービス。ハイブリッド・マルチローターは音声レーダーを搭載したプロトタイプで、周囲に集音マイクを持ち、「ADS-B」などでわからないヘリや航空機を周囲数kmの範囲で感知できる。

目視外飛行サービスを発表するMichael Chasen氏
CEO, PrecisionHawk社(撮影:筆者)

 また、昨年のXPONENTIALに比べると、今年はeVTOL(垂直離着陸型固定翼機)の展示が増えている。橋やタワーなどの固定設備を検査するには、マルチ・ローターが適するが、長距離を飛ぶ必要がある送電線やガス・パイプライン、精密農業などでは固定翼が強みを発揮する。

 ただ、従来型の固定翼ドローンはランチャーと呼ばれる離陸用機器が必要で、着陸にも広いスペースが必要だった。一方、eVTOLは数メーターの広場があれば離発着でき、しかも高速で広域をカバーする。もちろん、目視外飛行が可能になれば、固定翼の広いカバーエリアが大きな魅力となるだろう。

今年のXPONENTIAL展示会では、eVTOLとシングル・ロータの展示が目立った(撮影:筆者)

 eVTOLと並んで展示が増えたのが、シングル・ローター・ドローン(ヘリコプター型)だ。eVTOLと同じよう垂直に離発着ができ、マルチ・ローターのように低速飛行や空中停止もできるところがシングル・ローターの強みだ。

 ちなみに、シングル・ローターでは日本のヤマハ発動機がFAAから機体認可と業務認可を得ており、欧米メーカーと競争を繰り広げている。

EVLOSとは、リピーターや低空レーダー、遠隔の監視人などを使ってオペレータ(PIC)の視野の外に機体があっても操縦する方法。上図左は単純に低空レーダーなどでEVLOSを実現している。上図右は遠隔に追加の監視人を置くことでより広いEVLOSを実現している

 そのほか、PrecisionHawk社がFAAと続けてきたBVLOS(目視外飛行)、EVLOS(拡張目視内飛行)に関する官民合同実験「パスファインダー(Pathfinder)」に関する最終報告書も発表された。

 PrecisionHawk社は、精密農業の分野で目視外飛行免許を得ているパイオニアとして知られている。同報告書では、過去3年に渡って続けられ、第1段階では有人飛行機同士の衝突回避に利用されるADS-Bモニターや低空レーダーなどを使った「目視外飛行」における様々な状況を分析し、データをまとめている。

 今回発表された最終版では、操縦するオペレータとは別に、遠隔で監視人を置く拡張目視内飛行の分析が詳しく述べられている。

 ここまでFAAや議会が進めている商用ドローンの規制緩和について4つのポイントから解説した。それを時系列でまとめたのが「米商用ドローン規制緩和のながれ」(下図)だ。

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 アメリカはあと2年から3年程度のスケジュールで、目視外飛行、夜間飛行、頭上飛行時代に突入するだろう。

 しかも、FAAはこうした規制緩和に際して、根拠となる実験飛行データを十分に集めて分析している点がアメリカの強みだ。欧州でも商用ドローンの実験が数多く進められ、規制緩和に向かって動いている。こうしたデータを積み重ねた規制づくりで、日本は大きく遅れている。

 そもそも航空産業が欧米に比べて小さく、データを提供できる国内メーカーがほとんどいないという点も否めない事実だろう。

 また、リスクを嫌う日本企業は、ドローン利活用を積極的に進める機運に欠けるのも事実だろう。そのため欧米を目指す日本メーカーも増えている。今後、欧米で活躍する日本発のドローン企業が出現することを期待している。

ⅰFAA航空白書では、さらにホビー用ドローンを技術や規制などを考慮して低成長ケース、基本成長ケース、高成長ケースの3つのシナリオに分けて検討している。
一方、商用ドローンは主に規制緩和の状況を考慮し、基本成長ケースと高成長ケースの2つに分けて推定している。

ⅱ合衆国法典(United States Code, 49 U.S.C. 41101)において、航空貨物輸送事業者は「公共の利便性と必要性を示し、政府機関の認可を得る」よう定めている。これはFAA(連邦航空局)の飛行ライセンスとは別の義務となる。

ⅲ具体的には、事業者が貨物に保険を掛けるなどの適切な保障を提供するといった、商業航空事業者の基準に準じる。ロビー団体のSmall UAV Coalitionは、同告知について歓迎のコメントを発表している。

ⅳたとえば、政府機関が集中しているワシントンDCや4つの空港が集中しているシリコンバレー・ベイエリアでは、多くの地域でFAAに許可を得なければならない。

ⅴ当初はLAANCにアクセスできる事業者を4社に絞っていたが、現在、利用事業者の拡大を進めている。

ⅵ具体的にはFAAのドローン運行規約(パート107)に従い、空港周辺の最高飛行高度が記載されたUASファシリティ・マップやNOTAMS(航空関係通知)、一時的飛行制限情報などのサービス情報も提供している。

ⅶFAAは全米約500か所の空港を含む約300の航空管制施設へ同システム導入を進めている。17年11月、FAAはLAANCプロトタイプ運用を開始し、18年5月にベータ版を全米に導入した。

ⅷたとえば、撮影用のドローンは急速に小型・軽量化しており、DJIの小型空撮ドローンは衝突回避機能さえも乗っている。プロペラにバンパーをつけたり、ぶつかったらバラバラになるなどの安全対策を施せば、こうした超小型ドローンは十分に頭上飛行が可能となっている。

ⅸアメリカでは機体の登録義務があり、登録するとFAAの認証ステッカーを機体に貼り付けることが必要となる。これは車のナンバー・プレートに当たるが、飛行中は識別することは難しい。そこで無線などで遠くから識別できるリモートIDが模索されている。

ⅹ第336条の影響はリモートIDだけではない。航空機とドローンのニアミス報告が年間千件を超えるアメリカでは、FAAが2016年から機体登録によるホビー用ドローン規制強化を進めた。しかし、ホビー・ユーザーから「第336条に違反している」と裁判に訴えられ、17年5月にFAAが敗訴し、ホビー・ユーザー向け登録規制が停止した。慌てた連邦政府と議会は、同12月にNDAA(国防権限法)の一部として、同登録義務を復活させている。

ⅺ同法案の正式名称はFAA Reauthorization Act of 2018(FAA再授権法案、H.R.4)。同法案のポイントは次の通り:
1. ホビー・ユーザーは「オンラインで提供する航空知識および安全性テストの合格義務」の実施を義務付け、資格認定書を発行する。
2. FAAは同法案成立後、180日以内に資格試験を実施する義務を追う。
3. ホビー用機体のFAA登録を義務付け、FAAまたは法執行機関の要請に応じてオペレータは登録証明書を提示する義務が課せられる。

ⅻアメリカでは2015年から連邦航空宇宙局(NASA)が中心となってUTMの研究を進めてきた。このNASA-UTMの研究は、2019年春には終了する。それを受け、連邦議会ではドローン管制システムの導入について議論されている。

xiii 細かい説明は省略するが、有人航空機との運行調整、つまり「NAS-UTM(National Airspace System)統合」は前述のLAANCと表裏一体の関係にあり、FAAが運用サーバーを構築する必要がある。

xiv そもそもIPPとは、FAA(連邦航空局)の支援を受け、州政府や地方自治体が民間企業と協力して先進的な小型商用ドローン実験を行うプロジェクトで、17年秋の大統領令により実施が決まった。
FAAの狙いは、これらのプロジェクトを通じて「目視外飛行」や「夜間飛行」などに必要なデータを収集し、規制緩和を進めることだ。ちなみに、今回のIPPには州政府や地方自治体から149件の応募があった。

関連書籍

米国の最新商用ドローン事情を分析した日本初のビジネス書
『ドローンビジネスレポート -U.S.DRONE BUSINESS REPORT』
(小池良次 著/内外出版社刊)

小池 良次(こいけ りょうじ)氏

商業無人飛行機システム/情報通信システムを専門とするリサーチャーおよびコンサルタント。在米約30年、現在サンフランシスコ郊外在住。情報通信ネットワーク産業協会にて米国情報通信に関する研究会を主催。
・商業無人飛行機システムのコンサルティング会社Aerial Innovation LLC最高経営責任者
・国際大学グローコム・シニアーフェロー
・情報通信総合研究所上席リサーチャー

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